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12. サービスの変更

 

12.1 はじめに

 

12.1.1 契約の締結時に契約で詳述されたサービスの必要条件は、当局の現在の必要条件を考慮するのみならず、その将来的な必要条件についても、それが特定可能かつ計量可能であるかぎり、記載しなくてはならない。

 

12.1.2 しかしながら、契約の締結時には予期もしくは計量できない当局の必要条件の変更(たとえば航空機のシミュレータ・プロジェクトであれば、該当する航空機が進化するか、もしくはアップデートされるため、その変更が行われる)、もしくは当局が責任を担ってきた外部ファクターによって課される変更(たとえば、政策の変更)に応じるため、サービスの必要条件を変更することが必要になるかもしれない。

 

12.1.3 事業者は、サービスの必要条件そのものか、もしくはサービスを提供する方法か、いずれかの変更を提案したいと望むかもしれない。産出の仕様は一般に十分に弾力的であるため、事業者は当局と正式に協議することなしに、サービスの提供方法を変更(たとえば、技術開発の導入)できるだろうが、サービスの提供方法のいくつかの側面がサービスの必要条件に影響を与え、したがって当局にとってきわめて重要だという状況があるかもしれない。かかる状況においては、当局は正式に協議することを望むだろう。

 

12.1.4 いずれかの当事者によって提案された変更に関連する重要な問題は、かかる変更が強制的であるかどうか、(変更するのであれば)かかる変更を実現するための費用はどれほど割り当てられるのか、ということである。したがって、契約には、変更が当事者のいずれかによって提案され評価された時のメカニズムが記載されるべきである。

 

12.2 考慮すべき要因

 

12.2.1 提案された変更には、建設および(もしくは)操業に関わる変更がともなうこともあるかもしれない。変更の性質によっては、かかる変更を実現するに当たり最初には予想されなかった出費を被るかもしれない。資本の増強もしくは営業費をともなうサービスの必要条件の変更を契約の範囲内で調整するのは、容易でない。なぜならば、事業者は(できるだけ競争力のある入札をするために)臨時の必要をまかなうために、みずからの予算内に少額の予備費をとっておくかもしれないからである。事業者の融資者は、変更がプロジェクトの財政にマイナスの影響を与えることを懸念するだろう。事業者は、可能性のある変更をまかなうだけの目的では、かならずしも予備費を増額する必要はない。いかなる変更も必要とされない場合、当局にとってVFMがあることが判明する見込みはほとんどないからである。

 

12.2.2 したがって、当局は、みずから違反して変更を行おうとする前に、重大な変更は長期にわたるうえに費用がかかる可能性のある交渉を必要とする見込みが大きいことを認識すべきである。

 

 

 

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