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9.6.2 監視には、以下の三つのレベルがある。

・ 履行を測定する品質管理システムを用いた、事業者による体系的な監視

・ (不履行の反復もしくは不十分な履行については監視を強化する能力をそなえた)当局による、一定の計画的な無作為抽出検査を用いた、事業者の品質管理システムの再検討(【9.9.2】を参照のこと)。

・ 利用者が不履行を報告する能力(すなわち医師、教師もしくはサービス提供に関わるスタッフ)

かかるシステムが合意されないと、とくに支払いが行われるべきか否かという問題で紛争が起きた場合、厄介なことになるだろう。

 

9.6.3 究極的に、監視は当局の責任だが、多くの場合当局は事業者の協力によってのみ収集される情報を使用しなくてはならない。これは、ふつう事業者によって実施される品質管理システムの一部として取り扱われる(【3.5 品質管理システム】を参照のこと)。事業者の精確なデータ提供を確実化するための仕組みが適所になくてはならない。正しいアプローチはプロジェクトによって異なるが、建設的な協力体制はつねに必要である。事業者が情報を提供する場合、当局はその情報を監査し、確認する権利を得、それを行使すべきである。

 

9.6.4 当局は、契約を監視し管理するための十分な資源と正しいレベルの経験を持つ人員が利用可能であることを確実化しなくてはならない。プロジェクトによっては、当局と事業者のスタッフの協力体制を強化するために、共同訓練を手配することもある。

 

9.7 だれが監視の費用を負担するか?

 

9.7.1 事業者は監視を手配すれば様々な義務を課されるので、当然ながら負担の大きい義務を負うことに不安を抱くかもしれない。

 

9.7.2 したがって、いずれの当事者も監視の費用は自弁するのが賢明であるし、そうすることにより当局が圧制的な行動はとらず、可能性のある利害の衝突を避けるつもりであることを事業者に再保証すべきである。

 

9.8 質のファクターは、いかに提示されるべきか?

 

9.8.1 履行の客観的基準は、可能であればつねに利用すべきであるが、プロジェクトによってはその他の履行測定法が適正だということもあるかもしれない。たとえば、客観的に業績ポイントを適用するのが難しいが、それでもやはりそのサービスの利用者にとっては重要な、履行の質的な面、たとえばスタッフの有能さや給食の質といった面があるかもしれない。この手の側面に適用可能なアプローチは3つある。すなわち顧客の満足度調査、"謎の買い物客"の利用、および見本採取である。

 

 

 

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