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9.2.5 利用可能性(【7. サービスの必要条件と利用可能性】を参照のこと)については、融資者は、要求される履行レベルが妥当であり、客観的な測定が可能であることに関心を抱くので、事業者は一括請求の可能性のある最高額を達成するための、妥当な機会を得るだろうし、一括請求は、事業者がそういうことは起こりそうにないと確信する状況をのぞけば、シニア・レンダーへの返済分および持ち権の配当の支払いを可能にするレベルを下回ることはないだろう。どの程度が妥当なレベルか検討するにあたり、当局が(サービスの性質を考慮に入れつつ)100%履行という最高基準はどれくらいか、およびその基準は達成可能かつ必須かどうかを決定することにより、この段階で必要とされる基準を契約書中で定めるべきである。たとえば、病院内の手術室や警察分署の留置場といった事例のように、100%という最高基準が必ず要求され、必ず達成可能なプロジェクトもある。

 

9.2.6 しかしながら、こうした事例とは異なり、100%の最高基準の実現が必ずしも必須とはかぎらない(もしくは必ずしもつねに達成可能であるとはかぎらない)と、当局が認めることもあるだろう。こうした事例では、当局は100%の最高レベルを保持するかもしれないが、事業者がかかる100%レベルを下回る履行を理由に制裁を受けるまでは、目標と実態の乖離をある程度許容することもあるかもしれない。たとえば、提供されたサービスがとくに優れてないにせよ、かろうじて必要条件は満たしており、基準以下の履行もみられるが、それが当該区画の操業に重大な影響を及ぼしていない場合、事業者が指定された期間中に一定数の業績ポイントを負い、しかる後に金銭面での制裁を受けるということでも良いかもしれない(【9.11 不十分な履行の結果】を参照のこと)。

 

9.3 監視

 

9.3.1 当局が事業者の履行を、当局が契約にもとづいて指定した産出に照らして監視することにより、履行測定システムを効果的に稼働させられるような、契約にもとづく仕組みがなくてはならない。

 

9.3.2 監視の必要条件はITNで詳述されるべきであり、入札には完全な方法論が含まれていなくてはならない。方法論にふつう含まれるのは、当局の定期的な監査を条件とする、事業者による監視の本質的な要素である。たとえば、教員もしくは医療スタッフが不履行を認め報告した場合など、例外としてであれ、当局による、それ以上の監視もまた、行われる。依拠すべき報告書は、契約の管理や支払方法にとってきわめて重要であり、これらの必要条件を満たすように、個別にあつらえられなくてはならない。

 

9.3.3 監視には、客観的かつ計量可能で、できれば事業者の同意を得た、データの収集と評価がともなう。収集されたデータと、利用不能および不十分な履行を理由とする金銭的制裁との間には、明確な関係がなくてはならない。

 

 

 

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