日本財団 図書館


2. 契約の存続期間

 

2.1 はじめに

契約というものは、その有効期間を定めなくてはならない。また、たいていはサービス提供開始日も定めるが、これは、(もし、あれば)契約調印日の以後及び以前の期間1とを識別するためである。有効期間は【2.2 検討すべき事項】各個に記載されている問題に照らし合わせて検討されるべきである。

 

2.2 検討すべき事項

 

2.2.1 当局はプロジェクトにおける最大の、VFM引き出すように存続期間を決定しようとする。契約期間を決定する際に考慮すべき事項は、たとえば以下が挙げられる。

・ 当局のサービス提供の必要条件(第7章(サービス基準及びサービス提供不能を参照)

・ 結果的に資産に大きな残余価値を残すような、当局にとっての資産の代替的利用可能性(【2.2.2】および【19. サービス提供期間の、契約満了時の終了】を参照のこと)

・ 潜在的な資産の、予想される経済的有効寿命を勘案した上での、当局の、サービス提供を負担する金銭的能力(プロジェクトの実現に関わる資産の方が長期の経済寿命を持っている場合、将来見込まれる支払能力から考えて、長期であればあるほど好ましい)

・ 契約期間中の、大改修もしくは資産改修プログラムの必要性やその時機(【8. メンテナンス】を参照のこと)

・ 優先債務の見込み期間、およびプロジェクトの資金借り換えの可能性(債務弁済期間が長ければ長いほど、契約の存続期間を長くすることが可能となる)、および

・ 代替的利用法がない場合でさえ、当初の事業者と間に後続の契約を締結すれば(これもコストのかからない同等な中途解約の選択肢の一つとなる−19.2.5と19.6.3参照)、契約期間の延長ができるという選択肢があるかどうかの可能性

 

2.2.2 資産の中には、代替的利用法があるもの(たとえば会社や土地など)、つまり契約の満了後に事業者に収入をもたらす可能性のある資産もある(【19. サービス提供期間の満了時における終了】)。こうした事例の場合、事業者は、契約の有効期間中に、その投資に要した資金調達費(すなわち、債務もしくはエクイティーのリターン)の全額回収は期待しないかもしれない。というのは、契約の満了後に、その資産をかかる代替的利用に供する(たとえば、それらを売却する)ことによって差額を回収できるからである。したがって、事業者がその経費を契約の有効期間中に回収する必要がある場合に比べて、事業者が当局に請求する価格は低く、契約の期間は短くなりうる(【19.2 代替的利用方法のない資産】を参照のこと)。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION