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図表5-1 国及び地方の長期債務残高(平成11年12月時点)

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資料:大蔵省資料より作成

 

このような状況にあっても、当面は、景気対策などの積極的財政政策の影響と地方交付税制度が維持されていることなどから、個々の市町村ではこの厳しい財政状況に関する認識はまだ不十分な現状にある。しかしながら、景気が回復し、財政構造改革が緒につけば、国及び地方財政は更に厳しい財政運営を強いられることは必至であり、また、地方分権の推進により、生活者の視点に立った住民へのサービスを個々の市町村が自主的主体的に取り組むことが求められているなど、将来的には小規模町村ほど厳しい財政運営を迫られることとなる。

一方、昭和30年代以降の高度成長期を経て、わが国の交通・情報通信手段の発達は目を見張るものがあり、経済活動の進展と相まって住民の日常社会生活圏は、市町村の区域を超えて大きく拡大した。かつて、自分の住んでいる市町村の行政主体の意志如何が個々の住民の生活に大きな影響を及ぼした時代は、住民自治の意義もその効果もより直接的であったが、今日、国民に対する基幹的行政サービスは住所如何を問わずどこに住んでいても標準的なサービスを享受できる時代を迎えた中で、市町村の区域の持つ意味は大きく変化したと言える。どこでも誰でも同じような行政サービスが受けられるのであれば、住民への行政サービスの質を高めるためには、現在の市町村の区域にとらわれることなく、都市計画や土地利用計画並びに地域づくりや観光振興、交通網の整備などの分野においては特に、従来より、より広域的な見地から隣接の市町村を含めたより広い圏域において、一体的に展開される必要性が益々高まってきていることは自明の理と言える。

このように、住民の意見や立場如何に関わらず行政サービスの提供にあたっての基準が明確化され、均質化された中で、しかも住民が求めるニーズやヒト・モノ・カネ・情報が市町村の区域を大きく超えて流出入する時代においては、これまで同様に限られた市町村の区域のみで自己完結的に同じ行政サービスを提供する市町村行政システム自体が非効率であり、より広域で、より機動的な対応が求められている。

こうした社会の変化を踏まえ、地方分権一括法が今年4月1日より施行され、市町村は自己決定・自己責任の原則のもと、地域の総合的な行政主体として、また、住民に最も身近な行政主体として、住民サービスの提供の責務を負うこととされ、その役割・機能の拡大が今後、求められている。

 

 

 

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