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(1) 魅力ある就業空間

序章の時代の潮流で述べたとおり、経済がグローバル化し、競争が激化する中で、農業においても高付加価値化やサービス産業化などの構造転換が進んでいる。

また、農業の担い手についても、就業構造の第2次、第3次産業への転換や、少子高齢化に伴い、担い手不足や高齢化が深刻な問題となってきている。

一方において、価値観の多様化に伴い、人々の環境問題や健康への関心や都会生活から自然に恵まれた農山村での生活の見直しなど、新たなライフスタイルを求める動きが高まってきている。農業は、あらゆる産業や、生活の基礎となっており、こうした意味で「基礎産業」と位置付けることができる。

さらに、中山間地において若者などの定住を促進するためには、魅力ある雇用の場が必要となる。そのためには、1]企業の積極的な誘致、2]既存企業の育成、3]新たなインキュベーター(起業家)の支援といった3点の取り組みが重要である。第1点の企業誘致については、中球磨地域が高速自動車道を通じて九州内の各都市とのアクセスに便利であるという、立地条件を活かしながら、整備済みの工業団地用地などのインフラを十分活用すべきである。そして、大都市などに限らず、近隣地域で発展しつつある企業を含めた誘致に積極的に取り組むべきである。第2点は、既存の企業を育成支援することであり、もっとも着実かつ現実的な方法である。第3点目は、地元出身の技術者など、新たなインキュベーター(起業家)を積極的に支援することである。特に、ソフトウェア関連、バイオ関連など先端的な技術を事業化させることにより、魅力ある雇用空間の確保が可能となる。

また、商業の振興については、中球磨地域の商業集積地で最近空洞化がみられる免田町商店街の活性化が課題となる。現在町で進められている中心市街地活性化事業の取り組みを発展させ、商店経営者、商工会などで、街づくり機関であるTMO(タウン・マネージメント・オーガニゼィション)を設立させることによる、市街地整備及び商業活性化のための様々な事業の展開が望まれる。

以上のように、中球磨地域における産業振興の視点からみた課題及び活かしうる地域資源として、次のようなものが挙げられる。

 

ア 課題

○農林業担い手の減少・高齢化対策

○所得向上のための農林業の高次産業化

○健康・環境をキーワードとした農林業の展開

○積極的な企業誘致

○既存企業、事業所の育成、支援

○ソフトウェア、バイオ関連など新たな分野の起業化促進

○TMO設立などによる免田町中心市街地の活性化

 

イ 活かしうる地域資源

○地域内の農業法人、その他先進的な経営努力を行っている各農家

 

 

 

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