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3 各ケースの試算結果

 

(1) 試算の流れ

ケース1における費用負担の構造を、エプロンを事例にとって検討する。図表1-48に示すとおり、メガフロートの上部に配置を予定しているエプロンの面積規模は1.3haである。エプロンはクレーンの荷重を考慮した補強の必要性があるため、他の部分に比べて下部利用の自由度が少なく、用途の制約が多い。そこで、下部に関しては特定の利用を想定していない。その結果、エプロンは2層構造の上下併せて2.6ha(1.3haの2倍)を占有することになる。これは、全体の面積16haの16.3%を占め、メガフロート建設費164.5億円の内A欄に示した26.7億円がエプロンに関する費用となる。

この費用に対する国庫補助率は5.5/10(B欄)であり、算出される国庫補助金の額はD欄に示した14.7億円となる。

他方、残りの費用については、初期費用の負担をできるだけ軽減するため、起債によって賄うことになる。起債の充当率は95%(C欄)であるため起債額合計はE欄の11.4億であり、残額の0.6億円(F欄)が市費による負担となる。

次に、起債額の11.4億円のうち69.5%が交付税措置されるため、措置額約7.9億円(H欄)が国の負担によって補われる。この結果、起債に対する市の自主確保分は11.4億円から7.9億円を除いた3.5億円となる。

以上のような計算を各構成施設ごとに行い、これらを合計してみると、ケース1の国・市の負担内訳は以下のように示すことが出来る。

国負担額(国庫補助金+交付税措置額によって計算される)……約60億円

市負担額(起債額のうち交付税措置されない額+市費によって計算される)……約125億円

ケース2以降も同様の計算により、試算を行った。

 

(2) 試算結果の比較

ケース1から6の試算をまとめてみると、以下のような結果になる。

メガフロートに関する各試算のなかでは、ケース4(防衛補助活用)で事業実施年度に必要な「市費」(1.9億円)、後年度までを加味した「市負担額計」に関しても最も少額(40.8億円)となっており、最も市に有利な制度活用の想定である。特に、「市負担額」は1〜3のケースの1/3に満たない水準である。これは、他のケースに比べ国庫の補助率が高いためで、その補助金の額は他のケースの3〜4倍にもなっている。他方、ケース3では、「市費」約6.2億円、「市負担額計」約132.5億円と、大きな市の負担を必要とする結果となっている。

つぎに、埋立てを想定したケース5と6をみると、埋立てはメガフロートに比べて85億円も多くの費用がかかるにもかかわらず、補助率の高い防衛補助を想定したケース6の市負担額(60.2億円)はケース1〜3の市負担額の半分以下ですむ計算になる。逆に、港湾施設整備としてのごく一般的な財源計算を行ったケース5では、市費が1.8億円で6つの試算のなかで最少である反面、後年度の公債費まで含めた「市負担額計」は204.0億円と最も大きな負担を要し、同様に港湾施設の事業想定を行ったケース1に比べて80億円近くも多くなっている。

 

 

 

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