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序 調査研究の概要

 

1 調査研究の背景と目的

観光産業が主要な産業となっている地域においては、地域住民と業界、行政が一体となった観光振興が、活力あるまちづくりの創出に大きく寄与することから、地域経済における観光の実態や経済構造を明らかにすることが求められてきている。

和歌山県白浜町(以下、「本町」という。)は、紀伊半島の西南、西牟婁郡に位置し、白浜温泉に代表される良質の観光資源を有する近畿有数の観光地の一つであり、観光が町の最も主要な産業のひとつとなっている。そして、白浜観光を主導するホテル業者の多くは平成3〜4年頃のバブル期に高級化路線(施設の高級化、客単価アップ)を指向したが、ポストバブルの長引く景気低迷や観光地間の競争激化、国民の観光ニーズの変化などから、現状は観光入込客の停滞などにより観光を中心とした地域経済の実態が大きく変容しつつある。また、最近では、施設保有に伴うコスト削減のために、共用型の契約施設を活用することによって、企業の寮・保養所が減少するという構造的な変化もみられる。

本調査研究は、以上のような本町における観光と産業構造との関連を分析することにより、観光の地域経済に及ぼす影響の実態把握を行い、併せて、観光入込客の白浜観光へのニーズと評価を明らかにすることによって、町の振興に向けた観光産業の課題を検討したものである。そして、新たな観光ニーズのもとで観光産業活性化に向けての展開方向を明らかにした。

 

 

 

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