日本財団 図書館


第五には、中部圏においてはハードインフラについては大きな前進があったものの、ソフトインフラ、とりわけ人的資源の発掘と活用に向けた高度な人材育成システムづくりが不十分な状況にある点である。すでに、人材に対するニーズは多様化し、高度化しており、人材の供給システムも同様に多様化、高度化しなければならない。既存の大学と連携を図りながら、時代や地域のニーズにあった人材育成・確保システムを再構築することが、今、中部に求められている最大のニーズではなかろうか。

第六には、国際性と地域性、地域文化をあわせ持つ中部圏の特性を引き出し、世界に向けた情報発信、新たな地域文化の創造に向けて、大学の持つ高度で、柔軟性に富んだ知的機能の基盤を地域の中にビルトインできれば、中部の潜在的な可能性を押し出していく強力なエンジンを地域自らが持つことができるという点である。地域の文化や個性を踏まえながら、グローバルに情報を発信できる人材を地域自らが育てるというダイナミズムが、今、中部の可能性を引き出すものとして強く求められている。

 

(2) 中部圏市町村間の合意形成

研究学園都市の形成の意義を踏まえ、今後、中部圏における高等教育システム及び新たな大学の設置について、大学の機能や大学を真に地域のための大学としていくための運営のあり方、財源の確保など、さらに詳しく検討していく必要がある。そのため、中部圏内外の多くの人の意見を聴取し、大学の機能などについて検討を深め、そのような多くの議論や基礎的調査を踏まえ、学園都市構想としてまとめ、中部広域市町村圏事務組合構成市町村間の合意形成を図る必要がある。

 

(3) 中部圏をあげた取り組みの必要性

地域経済基盤強化計画(中部広域市町村圏事務組合)では基本戦略として、「本圏域における地域経済基盤強化対策には、圏域の特性や資源を最大限に生かした主体的な取り組みと地域住民、各種組織などの有機的な連携、さらに地域住民の創意性の発揮と活力の結集が肝要であり、そのために“中部はひとつ”という共通認識の培養が必要である」としている。

すでに序でも述べたことであるが、本圏域の新たな人材育成・確保システムの構築においても、中部圏全体として取り組むことが強く望まれる。地域性と国際性を備え、知識・ノウハウ体系を世界に発信できる人材や、地域活性化を担う高度な知識やノウハウを有する人材の育成・確保システムの再構築には、一市町村での対応には限界があり、専門ノウハウの結集ということからも、また推進体制の面からも、中部圏の全市町村が連携した体制が今後の取組に向けて不可欠である。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION