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(2) 異文化受容能力と独自の地域文化

前述した“優れた国際的環境”と共存するのが、中部圏における高い異文化受容能力である。アメリカ文化、インド文化、中国文化など異文化への受容性は、しかしながら、コザ文化などに代表される独自の地域文化を基層に持っている。オキナワンロック、演劇、伝統芸能、エイサーなど中部で湧き出し、本土にまで広がったものもあり、音楽産業、芸能産業のような感性産業の可能性が迫求されつつある。

独自のアイデンティを持たない国際化は、21世紀の国際化のモデルになりえないのであり、また、21世紀の技術や環境、生活、福祉、コミュニティを考えるうえで、中部域のアイデンティはきわめて重要な共通基盤になっている。

沖縄が世界に向けて情報を発信していくとき、中部圏はその地域の中に国際性と地域性、文化というきわめてダイナミックな推進源を内在している。

 

(3) 豊富な潜在的人的資源

沖縄の労働力人口は、60.3万人(平成7年)である。また、15歳から25歳までの若年層は19.5万人で、そのうち、中部圏だけでみると約7.2万人である。また、本圏域は年少人口比率が全国的にも高く、人口構造上も特筆される。

これらの人口は、沖縄の振興開発、文化創造、国際的な展開を担う人材であり、潜在的な人的資源である。しかしながら、このような人的資源を吸収・活用する産業が十分には育っていない。現実的には、中部圏における失業率は10%を超え、また既存大学の卒業生の就職率も低く、失業率が顕在化したものにはなっていない状況がある。

中部圏のみならず、すべての沖縄の人々が高度な専門的見識が持てるようなユニークな教育・訓練領域教育システムを提供する高等教育機関の存在や圏域にわたる高度な生涯学習システムの構築などが求められている。

 

 

 

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