日本財団 図書館


2 歴史・文化資源の内容と特徴

 

(1) 歴史・文化資源の特徴

調査対象地域には古墳時代から近代に至るまでの、多くの歴史・文化資源がある。またまちなみ、伝統行事、緑、文化施設など多様性もある。時代、質ともに重層性があり、かつコンパクトにまとまっている点が大きな特徴である。

 

1] ハード資源

阪急電鉄池田駅から五月山のふもとにかけては、在郷町としての交易、商売の形跡を残す建物がみられ、生活に密着した地蔵尊なども数多く残されており、明治時代までは街道を中心にまちが栄えていたことがうかがえる。また日本初の分譲戸建て住宅地「室町」は、約100年を経た今「歴史的なまち」としての趣と風格が感じられる。

五月山一帯は、社寺やいくつもの古墳などが点在しており、信仰や権威を示す場であったことがうかがえる。最近では、豊かな緑や自然条件を活かしたレクリエーションの場として利用され、スポーツ、野外活動、緑化関連など様々な施設が整備されている。山ろくにある逸翁美術館や池田文庫は、全国的な知名度もあり、池田を代表する文化施設である。

近年は街道沿いの歴史を物語る家屋が年々姿を消しており、神社や祠なども手入れが行き届いているとはいい難く、往年の歴史的風情が薄れると同時に将来歴史・文化資源として誇れるようなインパクトのある施設やまちの整備が立ち遅れている面がある。

 

2] ソフト資源

伝統的かつ個性的な祭りや民話や信仰と結びついた町内会レベルの小さな祭りが伝えられており、北摂を代表するような火祭り(がんがら火祭り)もある。市内のみでなく周辺地域の参加も期待できるイベントや、伝統、自然の特徴や産物を踏まえた新たなイベントも多く開催されている。しかし、全国レベルの知名度を持つような祭りやイベントはみられない。現在活躍中の文化人、有名人にちなんだイベントも少ない。

また街道沿いの在郷町として栄えていたことなどから、俳人や数多くの文芸人の往来が豊かであったことがうかがえる作品などが残されている割には、あまり広く知られていない。酒・炭・植木といった特産物も細々と受け継がれているものの、近年新たな特産品などは生まれていない。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION