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また、厚木テレコムタウン近隣の沿道地区には、駐車場、資材置き場、倉庫等が分散立地しており、これらの施設の高度化も目的の一つになっていた。

厚木アクスト(AXT)地区(2.5ha)は、サテライトビジネスパーク地区である拠点ゾーン、業務・研究開発ゾーン、流通業務ゾーン、ロードサイド型複合ゾーンの4地区よりなる「厚木テレコムタウン」のうちの"拠点ゾーン(7.4ha)"の中心エリアであり、1]高層のメインタワー、2]富士通厚木テクニカルセンター、3]ガーデンプラザI・IIによって構成されている(図表3-37)。

メインタワーは、平成7年10月オープンであり、最新の情報通信インフラ、セキュリティ、オフィスアメニティ施設や制震装置等の設備を備え、地域のシンボルとして位置づけられていた。その規模は、地上26階(地下1階、塔屋1階)、敷地面積:8,9512、延床面積:57,483m2である。貸会議室、厚木市情報プラザとオフィスフロアのうち2〜9階に当たる約4分の1、1万m2を「(株)厚木テレコムパーク」が管理し、約4分の3の3万m2は「明治生命」が管理している。

この厚木アクスト(AXT)・メインタワーへの入居状況は、都心部の地価下落、オフィスコストの低下の影響によってオフィス立地の都心回帰が生じており、あまり良くない。すなわち、厚木サテライトパークの賃料は、平成7年10月の業務開始当初は坪当たり2〜2.2万円と、駅前周辺の通常ビルより4〜6千円高い水準で価格設定がなされており、入居契約が進まなかったという経緯がある。例えば、開業5ヶ月前の時点で入居契約ゼロと報道され、開業直前でも第三セクターの管理部分についての入居率は4割程度、引き続き内定している企業との契約を急ぎ6割の水準を目指していると報道されてきた。そして、開業5ヶ月後には、入居率5割と報道されてきた。このような需要減退と供給のタイムラグに伴うオフィス取得の都心回帰による「逆玉突き現象」は、四街道市近隣でみると、後述する千葉市の受けた影響と同様である。

「(株)厚木テレコムパーク」が管理している部分は戦略的な価格設定(借地料・建設コスト・管理運営費を考慮した本来の価格を下回る)を行うことによって、現在の入居率は90%を上回る水準にある。この結果、同社は現在累積赤字を抱えている状況にあり(平成11年4月末で約36億円)、開発に当たって開発銀行から受けた融資の返済が滞りつつあると報道されている。明治生命サイドの入居も同様に良くなく、入居率は50%程度ではないかとみられている。この点に関して、オフィスの入居は賃料次第との印象を持たれている。

地権者は土地を手放すという感覚がなかったため、借地が多い。地価については、物納ベースで推計すると坪価で90万円ぐらいになる(保留地処分の時期はバブルの絶頂期であったため250万円/坪程度であったと言われている)。

アクスト地区の隣地では、アミューズメント拠点地区(4.4ha)が計画されており、自動車メーカーのショールーム、体験型アミューズメント施設の計画があったが実現しなかった。その後、テナント探しを行ってきたが、賃料との関係でいまだ実現していない。現状は、ビル入居者の駐車場や物置場として利用されている。

本厚木駅から2kmに位置し(以前1kmに相当するところに新駅整備の話があったが、現状はストップしている)、時間あたり3本の専用シャトルバスを出しているが、立地条件は駅歩行圏と比較して相当良くないと評価されているようである。

 

 

 

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