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(3) 近年の研修施設の整備動向

全国の研修施設の整備状況については、既存のデータベース等で把握されたものがないため、最近3カ年において研修施設の整備・拡充・計画について日本経済新聞等の各種新聞に掲載されてものを検索したものが図表3-2である。検索件数は85件(平成9年〜11年)であったが、これらの研修施設の傾向をみてみると、次のような特徴があげられる。

公共・民間の分類で捉えてみると、公共が26件に対して民間は59件で民間が公共より2倍以上多くなっている。(なお、財団等の半官的な組織も民間として分類している。)公共では「国」が5件、「県」が9件、「市町村」が12件となっている。また、民間では単独の民間事業体が最も多いが、組合等の団体が10件を占めている。

先に示した研修施設の類型で捉えてみると「自社専用研修センター」が41件のほぼ半数を占め、次いで「国や公共団体が運営する研修センター」が26件となっている。

立地場所についてみてみると、本社や事業所がある所在地に建設する場合がほとんどで、あえて郊外地や遠隔の観光地に立地するような例は極めて少ない。また、85件の内政令指定都市で立地するものが25件を占めている。

設置タイプについては、本社や既存事業所に併設させるものと、独立して研修センターをつくるものとがほぼ半々にわかれている。

また、ユニークな例としては、1]農業への就農を狙いとした、女性・中高年・退職者等を対象にした農業体験研修施設、2]高齢社会を見据えた介護人材育成のための研修施設、3]公園をテーマパーク(TVのセットにも使える歴史公園)として整備し、その中に整備した研修施設、4]外国人(アジア)を対象にした技術研修施設や、外国政府公務員、研究者、学生等を対象にした日本語研修施設などがある。

この他にも、企業の研修施設の廃止に関する記事も相当数にのぼっており、近年の研修施設を取り巻く厳しい環境が窺われる。

 

(4) 四街道への研修機能導入の可能性

現在の厳しい経済・社会環境のなかで、多くの一般企業においては経営体質の改善の観点から、研修施設、保養施設等のあり方を見直し、廃止や縮小に踏み切るところも少なくない現状にある。このため、全国的にみて一般企業の研修機能の誘致は極めて厳しい環境にあることが想定され、立地条件面で、他地域よりも優れた環境が担保できない場合は、本市に一般企業の研修機能を導入することは、難しいと判断せざるを得ない。

しかしながらこのことは、あくまでも一般的傾向であり、当地域に研修施設導入の可能性が全くないということとは言えない。すなわち、全国的な傾向としては、「人材育成」はこれからの社会において重要なファクターであり、中・長期的にみれば研修機能の整備の可能性は十分にあると思われる。昨年度調査においても(財)中小企業国際人材育成事業団のヒアリング調査からは、本市の立地特性を考えると1、2年先であるならば外国人の語学研修センターの誘致も可能性があるのではないかという回答を得ている。このことから、研修機能導入については、可能性は有しているが、地域全体の開発の先導的役割を期待することは困難であると考える必要があろう。

従って、本市に研修施設を誘致する場合は、本市の立地特性である成田と東京に近接していること、高速道路とのアクセスにより広域からの誘致条件に優れていること等を最大限に生かした性格の研修機能の導入を検討することが必要である。その点からみていくと、「21インター周辺土地利用プレゼンテーション」で挙げられた“国際性”に着目した研修機能の導入が、最も有力になることが考えられる。

ただし、それに対応して単に施設だけの問題ではなく、まち全体として外国人が住みやすい受け皿を整備していくことが重要であり、そのような条件が整備されることによって誘致の可能性はかなり高まるものと思われる。

 

 

 

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