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序 調査研究の概要

 

1 調査研究の背景と目的

 

大都市圏の縁辺部に位置し、ベットタウンとしての性格が強く、産業等の集積が乏しい多くの中小都市にとって、さまざまな都市機能の均衡ある発展や未成熟・未定着な都市機能の育成は、自立性や拠点性の高い地域づくりに取り組むうえで看過できない課題となっている。

千葉市に隣接し、首都圏40km圏域に位置する四街道市もそうした課題に直面している都市である。今日、高速道路や鉄道等の広域交通の結節点となる東関東自動車道水戸線四街道インターチェンジ周辺に着目した対応策を模索し、その一環として、平成2年度から土地利用調査を行ってきているが、社会経済情勢等の著しい変化に伴い、平成9年度には新たに活力あふれる複合機能都市づくりをめざす土地利用構想を作成した。さらに、平成10年度、まちづくりの中核施設の検討を行っている。

そこで、本調査研究は、四街道市(以下「本市」という。)及びその周辺地域を対象地として、土地利用構想を実現するための基本計画及び実施プログラムの策定に先立ち、都市基盤整備や導入施設、企業誘致等の実現可能な開発のあり方を検討した。

 

2 調査研究の視点

 

本調査研究を行うに当たっては、以下のような点に留意して実施した。

 

(1) 従来からの検討経緯に十分に留意した

高規格道路のインターチェンジ(以下、「IC」という。)整備地域周辺には、開発ポテンシャルの大幅な向上を見越して多くの開発計画がすすめられている。東関東自動車道水戸線四街道IC周辺地域は、「四街道市総合基本計画」(昭和59年3月策定)において、開発整備の方向が位置づけられ、平成2年度より様々な関連調査が実施されてきた。

そして、平成10年度に実施された「21インター周辺土地利用プレゼンテーション」ではIC周辺地区を「四街道・フレッシアン・パーク」とし、恵まれた自然環境を生かして、様々な機能構成のもとでまちづくりを行うこととしている。

本調査研究は、こうしたまちづくりの基本方針と導入機能の想定を踏まえて、その実現化のための方策について検討を行った。

 

(2) 導入機能の実現性を検討するために、立地主体企業の立地展開戦略や広域的立地展開の潮流を検討した

これまで検討されてきた導入機能群は、本市及びIC周辺地区のまちづくりの方向との関連から、地域サイドの必要性の検討に重点を置いて位置づけられたものである。しかし、バブル景気が崩壊した現在、施設の立地需要に限度がみられることから、立地主体側の地域選定の基準は厳しいものとなり、併せて、機能導入についても地域間の競合が激化している状況にある。そのため、(1)で述べたように、地域サイドからみた導入機能の絞り込みはこれまでの検討結果を受け止めることとし、本調査研究においては、立地主体側の戦略にもとづく地域選定の考え方や最近の立地実績からみた潮流を分析することによって、誘導対象の観点から見た立地可能性を検討することとした。

 

 

 

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