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(2) NPMが「新しい」理由

前述7項目にわたりNPMの特徴を示したが、NPMが新しい(NEW)とされる理由は、とりわけ以下の3点で従来の行政管理論と決定的に違うことによる。

1] 民間を構成する原理と、政府等の公的セクションを構成している原理とは、異なるものではないとすること。

2] 一元的な組織は大きすぎて動かないから、ばらばらにしてしまうこと。機能別に分けられるものは外に出す。

3] 公的組織腐敗の問題について、手続を不自由にして信頼性を高める従来の手法と違い、汚職の可能性が少しは大きくなるとしても、手続よりも結果を指向して、なるべく組織が自由に行動できるようにすること。

 

(3) NPMの課題

日本のようにドイツ法系の国においては、組織法制、公務員法が厳格に規定されていて、NPMの考え方と法制の原理がぶつかり、NPMの考え方をスムーズに導入しにくいことがある。英米などアングロサクソン法系は、組織法等が無いため、その点の障害が少ない。

また、社会的土壌として、専門的な経営者や技術者が、ある地方公共団体で仕事を終えたら別の地方公共団体に転職するといった労働市場が形成されており、そうした環境の中でNPMといった管理手法が採りうるが、日本ではそうした状況にない。

 

(4) NPMと政策評価

政策評価とNPMの関係には密接な親近性がある。例えば、政策評価を行うことで、行政が経営体であるという意識が強まるし、政策評価は一定の観点から見た結果を示すものであるため、結果を重視するというNPMの特徴の3であげた「アウトプット統制の強調」を際立たせることとなる。

 

 

 

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