監査の結果は被監査責任者に伝え、記録に残して、マネージメント・レビュー時にフォローアップする。
小規模造船所では、まず監査員の選抜がある。監査は時折(年2度位でいいだろう)なので、常時の業務と兼ねる副業となるが、披監査部門から独立となると最小限2人要る。この2人、資質があり、トレーニングしても、お互い気心の知れた狭い世界なので、ついナアナアになりやすく、マンネリになっても交替の人材がいない…うらみがある。
経営トップが1人で、これに当たるか、しかるべき代行者をスポットで外注する…のも手であろうか。
監査手順書といっても、項目を消し込むチェックリストで充分。審査結果は「是正処置書」で指示し、改善されれば記録として残す。
18. 教育・訓練
造船所の一人ひとりが品質システムにかかわっているという自覚が必要。従業員へはもちろん経営トップ層への教育・訓練も欠かせない。すべての要員に適切な教育・訓練の手順を文書に定め、「いつ、誰が、誰に、何で、何を、どのくらいに」の実施記録を残す。
この項目で小規模造船所を語るのは、もどかしい。貧弱な所が多いようである。
まず教育・訓練には、それなりの中長期的視点が要るが、造船所構内作業ですら外注が圧倒的である。それはそれとして、誰が、何の目的で教育をし、また逆に訓練を受けるのか。その誘因 : インセンティブが判然としていない。
教育・訓練には、外部委託などコストが掛るが、その投資は品質管理で『ペイする』ので、受益者である造船所が負担すべきであろうか。
19. 付帯サービス
引渡し後の保守点検などサービス提供が契約に入っておれば、その手順を文書化する。
造船所は「船というモノ」ではなく、その「船の果たす機能」を船主に提供しているのであり、アフタサービスも品質管理の範囲にある。親密な船主といえ、キッチリ契約するのが、相互の敬意の証しであろう。
20. 統計的手法
造船所の工程能力や建造船の特性を設定、管理、検証するために必要があれば、統計的手法(ヒストグラム、散布図、特性要因図など)を用いることが要求される。
小規模造船所でも、パソコンで容易に統計的品質管理法が使えるようになった。
何のために必要か…を明らかにして、手順を決めて利用しなさい…ということで、使いもせず役にも立てないのなら意味がない。