14. 是正処置及び予防処置
是正処置とは、不適合品が発生した後の対応で、原因を調査し、再発を防ぐ手段を定めることをいう。結果は記録される。
予防処置とは、不適合品が発生する前の対応で、潜在する不適合の要因を調査し取り除くことをいう。とられた予防処置の記録はマネージメント・レビュー時の資料とする。
この項は、TQCなど品質管理の、どの手法でも強調される。
前項の不適合品の処置は当面の措置で、必然的に即やらないでは済まされないが、それに止どまっては「もぐら叩き」を続けるにすぎない。問題は不適合=仕損じ(チョンボ、オシャカ、ミス)の再発および未然の防止にあるからである。
所要コストは、不適合処置>是正処置>予防処置…で大幅に低減する。品質管理が『ペイする』目玉である。
この「歯止め」策の検討と決定は、だが、放っておくと先送りされ、やがて消えてしまう。トップの熱意と根気しか、その「歯止め」にはならない。
15. 取扱い、保管、包装、保存及び引渡し
造船でいえば、完成船舶を船主に引渡すまでの管理の取決めである。
取扱い〜保存…では、係留・防汚措置や、台風/津波対策がある。
小規模造船所では慣行依存で明確に規定されておらず、特に引渡し時の船主との責任分担があいまいだと、いざトラブルが起きれば、力関係から泣き寝入りさせられることもあるのではないか。
16. 品質記録の管理
品質記録は合意された期間、品質管理の実証として、また船主が評価するための参照できるよう、整理保管しておく。
記録は書類でも電子媒体(フロッピー、光ディスクなど)でもよい。
小規模造船所では、記録は書類では間尺に合わない。担当・整理・場所・廃棄の不要なデータでなら、受け入れ可能ではないか。ただし、データを[正]とし、文書があるとしても[副]の扱い…とできるのが条件である。
17. 内部品質監査
ISO-9000は、品質保証をモノやコトの常時の検査選別によるのでなく、決められた品質システムが正常に作動しているかどうか、時折に監査確認する手法である。
内部監査とは造船所が自身で実施する審査で、品質システムの維持発展のために重要である。監査手順を文書に定め、その監査員には被監査部門の責任者以外の要員を選ぶ。