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小規模造船所の系列下請けは、さらに零細な業者で「この前と同じように」と言えば、「あうんの呼吸」で通じてしまう。それを今更…であろう。

ここもカードの出し入れだけで、これらの全事務が済むような、判りやすい資材システムを導入するのが、実際的ではなかろうか。

 

7. 顧客支給品の管理

船主支給や預かり品があるときは、検証・保管・管理の手順を文書化し、船主品が使用に適さない場合は、即座に指摘する仕組みとしておく。

 

船主から預かったときノーチェックで、後になって不具合が発覚したら、責任をめぐるトラブルでは造船所側が弱い。

 

8. 製品の識別及びトレーサビリティ

部品、材料、生産仕掛品のそれぞれが、他とまぎれないような識別と、それらが経てきたプロセスの追跡(後追い可能の記録)方法を決定し、文書化する。

 

小規模造船所には、発注/検収伝票や作業日報などの証憑の認識が乏しい。「なぜ作業結果を記録するのか」という意識付けから始めて、実地に工夫してみれば、現状のやり方を変えないでも対応は可能であろう。

 

9. 工程管理

*勘所を示した手順書が揃っており、それが守られている必要がある。

これまで不良・不具合のでた部分に絞り込み、文章を読まなくても、一見して判る簡単な図解がよい。所要設備や作業環境(整理・整頓・清潔…を含む)も規定しておく。

 

*作業の「できばえ」の基準を示しておく。

これも誰でも比較ができる見本サンプルやゲージが、使いやすい。

例 : 隅肉溶接→脚長ゲージ

 

*溶接・塗装などの特殊工程(事後の検査では結果が検証し難い/欠陥が引渡し後に発覚する作業)は、かならず(規定された)有資格者が行う。

登録資格は、定期的な教育・訓練で維持・管理する。

 

10. 検査・試験

前工程からの受入れ、工程中、次工程への受渡し…の三段階での検査・試験が対象として、手順と合否判定基準を文書に定める。

 

 

 

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