5.4 溶接部の欠陥
5.4.1 6000系合金の結晶粒界開口
ここでいう結晶粒界開口(grain boundary openings)とは、熱影響部における融解割れ(liquation cracking)である。溶接時の入熱によって、低融点合金元素の偏析している結晶粒界が局部的に溶融し、再凝固するときに発生するものであり、溶接金属が凝固するとき生じる凝固割れ(solidification cracking)とは異なる。
結晶粒界開口は、6005Aや6061合金等の6000系合金に発生しやすく、ミクロ割れ(microfissure)とも呼ばれる顕微鏡組織的な欠陥である。これは過剰Si成分に起因するもので、母材の結晶粒組織と密接な関係があり、非再結晶組織又は比較的微細な再結晶組織であれば結晶粒界開口を生じないようである。