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(1) オフセットデータ変換

フェアリングシステムは船型設計の後処理で、かつ数値現図システムの前処理の性格を持つ。一連のシステムとしては切り放し/切れ易いシステムで、現図床から離れたことから、オフセットデータとして流通するようになってきた。

フォマットが違っても、いずれ線/面の船系座標値で、あいまいな内容はない。

フェアリングの章で触れたように、かって、ランディングを含めた構造用正面線図表現について、ISO標準の提案を日本で行うべく、中間フォマットを造船学会システム技術委でまとめたが、コンピュータ技術の発展の方が早く、実際面に適用された例は出なかったようである。データ交換先が同じプロッターの作画フォーマットを使っていれば、それによるのが容易で確実であり、結果としてデファクトスタンダードに先を越されてゆくことになる。

変換精度は、数値フェアリング相互間であれば、補間方式やトレランスの差が累積はするが、いずれ厚さや太さのない線/面の取扱いであり、問題にするには当らない。ただし精度確認は必要である。

今後とも汎用CADの作画フォマット、例えば"Auto-CAD"のDXFを介してとか、1対1変換でゆくのが現実的であろう。

 

(2) 部品データ変換

これも造船学会システム技術委の作業で、中間ファイルフォマットが発表されているが、やはりまだ実際には採用されていないようである。さきに説明したように実務運用上で、1対1変換の方が、はるかに軽いからである。

この場合は、相互のデータフォマットを開示する必要がある。特に倣い開先を持つ外周形状の変換に注意したい。板厚処理で説明したように、モールドラインと板逃げの関係から正当な取合い精度が得られない場合がある。

 

6.4.3 NCデータの互換性

当面する問題の主たるものは、ここであろう。

さきに解説したように、NCフォーマットは標準化されてはいるが、NC装置の多様化のため任意の設定を認めているところがある。

 

NC切断機は同じタイプといえども、その設備時期によって機能が少しずつ変わって来ていて、時期が遅い機種ほど、その機能が改善されている。また、タイプの異なるNC酸素プラズマ切断機と緩曲線NCガス切断機とでは、当然その機能が異なっている。

つまり、一般的にはNCデータの互換性はない。

 

互換性を重視すると、折角の新しいNC機に持たせたい機能を殺して、古いNC機の既存機能に合わせざるを得なくなる。

 

 

 

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