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(2) 機体駆動の方式

ところで、トーチを運ぶガーダーとキャリッジには、車の走行と同じく、走り出すにはアクセル:加速がかかり、止まろうとすればブレーキ:制動をきかせる…ような制御の必要がある。NC経路上のKLポイントでは必ずスローダウンしてスローアップとするのである。原則的には、これでよいとしても、少しづつ折れ曲るタブシルでのガクンガクンは困りものである。スピードも出せないし機械も痛める。そこでNC機の中には、なだらかなカーブを判断して自動的にブレーキを解除するように制御している機種もある。

この加減速の程度も機体の駆動方式、片輪/両輪ドライブ、ラック・ピニオン/フリクション送り…などで変わってくる。

 

(3) トーチの種類

搭載する切断手段としては、ガス/プラズマ/レーザとあり、まず切幅が違う。その切幅もプラズマでは傾斜がでるから、共有辺切断ができない。V開先以上の複雑な開先形状の切断は、まだ複数トーチブロックのガス熔断である。

V開先角度では、NCの1軸として連続変化/(後述の)補助機能にて段階的に自動選択/アラームにてオペレータが手設定…などのオプションがある。

マーキン機能は、随伴するのが多いが、(トーチからの)オフセットは同じであるとは限らない。また印字装置を付加した機種もある。

 

(4) 機器メーカーの固有差

機器システムの性格としては、この影響も大きい。同じメーカーでも、時期/状況によっても変わってくる。かってNC装置が機体に比べて相対的に高価だった頃、1本トーチの閉曲線直切専用機にローコストの旋盤用NC装置を組み合わせたことがある。メーカーの複合であった。

 

このように見た目は同じでも、上記の項目が組合わさった機器システムには多くにバラエティーがある。…ということは入力するNCデータにも、それに対応したバラエティーがあることを意味する。

 

6.1.2 NCフォマット

標準的なNC装置の入力となるNCデータの様式が、NCフォマットである。

NCフォマットには、工作機械の開発から発した米系EIA方式と最初のガス熔断機を開発した欧系のESSI方式の2つの流れがあり、やがてISO:国際標準に持ち込まれて、EIAが制御分野で汎用として統一され、ESSIは造船分野で統一となった。

日本の造船所では、初期は輸入機導入だったのでESSIが先行したが、国産機開発では敢て機械分野と分ける必要なしとしてEIAで追走するようになり、現状では既にリプレイスもあってEIAが大勢となっている。

 

 

 

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