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4. 総合考察

 

船舶により運送される危険物の試験方法および判定基準は、IMDGコードにより規定されており、IMDGコードは国連危険物輸送専門家委員会による勧告を引用している。IMOは最近の技術革新と環境規制等の強化に伴い、2001年を目途にIMDGコードの強制化を予定しており、国連勧告による試験方法及び判定基準の重要性が増大している。

一方、国連勧告による試験方法及び判定基準は、当初、各国で用いられていたものが提案され、リストされていたが、最近の試験方法等の国際統一に向けての検討により、試験方法等が改訂されたものもある。

わが国においても、国際対応に向けて最新の国連勧告による試験方法及び判定基準を十分に理解するとともに、必要により、適切な試験方法等を提案することも国際貢献のために重要と考えられる。

このような背景から、本調査研究「物質の危険性評価のための試験方法及び判定基準に関する調査研究」は、平成10年度から平成12年度までの3年間にわたり海上貨物運送調査会・危険性評価部会で行っているものである。

平成10年度は、最近改訂された酸化性物質の試験について検討し、実施のためのノウハウの確立と問題点等の検討を行うとともに、実施が比較的困難と思われるテフラグレーション試験について、そのスクリーニング化の可能性の検討を行った。

本年度も昨年度に引き続き、以下に示すように、金属腐食性に関する試験について、実施のためのノウハウの確立と問題点等の検討を行うとともに、実施が比較的困難と思われるSADT試験について、そのスクリーニング化の可能性を検討した。

 

1]. 社団法人日本海事検定協会理化学研究所:調査研究「腐食性物質一金属腐食性試験方法の確立」

2]. 株式会社カヤテック厚狭事業所委託研究「可燃性物質一SADTの予測手法に関する研究」

 

以下に、調査研究及び委託研究の検討結果の概要を記す。

 

4.1 調査研究「腐食性物質―金属腐食性試験方法の確立」

1) 目的

国連勧告に引用されているASTM金属腐食性試験方法は、金属腐食試験全般にわたる一般的解説書として記述されており、試験方法の詳細には言及しておらず、試験実施のための実務的手順書とはなりえない。そこで、金属材質として、国連勧告に引用されている容器用鋼及びアルミニウムを選び、金属腐食性試験について検討し、試験方法の問題点を明らかにし、試験手順の詳細例を明示することにより、国内試験機関による試験実施体制確立の一助とするとともに、必要により、改良法を国連提案することを目的とした。

 

 

 

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