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まえがき

 

本報告書は、「危険物の国際基準策定に関する調査研究」に基づいて作成したものである。

国連危険物輸送専門家委員会(以下「国連委員会」という。)は、危険物の国際的な安全輸送要件(危険物の定義、分類、容器及び包装、表示及び標札、危険性評価試験方法及び判定規準等)についての検討を行っている。国連委員会で決定された輸送要件は、危険物輸送に関する国連勧告としてまとめられ、海上運送をはじめとする各輸送モードの国際運送基準や各国危険物輸送規則のモデル規則として勧告されている。このため、最近では国連勧告には国連モデル規則の副標題がつけられている。IMOにおいては、この国連モデル規則を採入れて危険物の海上運送規則としてIMDGコードが策定されている。

本調査の目的は、国連モデル規則の改正が直接IMDGコードの内容に影響を及ぼすところから、国連委員会での審議についてわが国意見を集約し、同委員会へ専門委員を派遣してわが国意見の反映を図るとともに、危険物輸送に関する必要な情報を収集することである。そのため、危険物輸送国連対応委員会(以下「対応委」という。)を設けてその目的を達成することにした。

国連危険物輸送専門家委員会は、西暦奇数年に2回の小委員会、西暦偶数年に1回の小委員会とこれら3回の小委員会での検討を最終的に承認する目的で1回の本委員会を、その全てをジュネーブの国連欧州本部において開催している。この本委員会での結果を反映した「危険物輸送に関する国連勧告」改訂版は、西暦奇数年の2年毎に出版されている。従って、平成11年度(1999年)は、第16回小委員会(7月5日〜7月16日)と、第17回小委員会(12月6日〜12月17日)が開催された。これに対処するために、対応委は委員会及び部会を開催し対処案をまとめ、専門委員が国連委員会及びその小委員会における審議に参加し、これら会合終了後に、対応委及び部会を開いて国連での審議結果を報告した。

わが国は、第10回小委員会(平成7年度)に「新国連統一圧力容器試験」に関する日本の考え方を提案して、これが採択された。対応委では、これに基づき国連委員会への具体的試験法を提案するための検討を行っている。

本年度は、この他にわが国としてリチュウム電池関連規程の改正(第16回及び第17回)及び自己反応性物質への少量危険物規程の適用(第16回)、それぞれについて提案し前者は継続検討されることとなり、後者は採択された。

 

この報告書は、これら対処案及びその結果をまとめたものである。

 

 

 

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