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第3章 ニッケル鉱荷崩れ危険性評価試験法の仕様

 

3.1 試験法の概要

円錐貫入試験は、家屋を建築する際の地盤の調査(地耐力調査)においても用いられる簡便な試験法であり、ニッケル鉱荷崩れ危険性評価試験法は、円錐貫入試験を中心として構成することとした。なお、供試体に細い円筒を貫入させる「プロクター貫入試験」についても検討したが、様々な大きさの粒子を含むニッケル鉱に対する試験法としては、円錐貫入試験と比較して、結果のバラツキが大きいことを確認し、採用しなかった。

円錐貫入試験の結果は、円錐貫入力、即ち、試料に円錐を貫入させるのに要する力により表される。地耐力調査においては、適当な深さ毎に円錐貫入力を計測するが、ニッケル鉱の剪断強度の評価においては、適当な深さまで円錐を貫入させた際の最大円錐貫入力のみを円錐貫入試験の結果として用いれば良い。

研究開始時点では、試料の篩い分けを行わず、試験実施者がニッケル鉱のパイルに登って円錐貫入試験を実施する方法を想定して研究を進めたが、この方法ではニッケル鉱の種類(産地等)によらないクライテリアを設定することが困難であることが分かったため、試料の最大粒径は調製することとした。(付録2参照)

一般に、ばら積み貨物の剪断強度は、間隙比、即ち空隙部分の体積と固体部分の体積の比によって異なる。そのため、ばら積み貨物の剪断強度を計測するには、締め固めが不可欠であり、ニッケル鉱荷崩れ危険性評価試験法においても、締め固めを行うこととした。なお、締め固めには各種の方法があるが、再現性確保の観点から、所定の容器に試料を入れて、ランマを用いて締め固めを行うことにした。

以上の検討の結果、ニッケル鉱荷崩れ危険性評価試験法の手順の概要を以下の通り決定した。

(1) 篩い分けにより、試料の最大粒径を調製する。

(2) 所定の容器とランマを用いて締め固めを行う。

(3) 容器内の試料について円錐貫入試験を実施する。

(4) 円錐貫入試験結果に基づき、荷崩れの危険性を判定する。

これらの手順のうち、(2)及び(3)の作業は適当な回数繰り返し、試験結果の代表値に基づいて荷崩れの危険性を判定することにした。

 

3.2 試験装置等の仕様

3.2.1 篩い分け

円錐貫入試験装置の円錐が試料への貫入時に大きな粒子に当たった場合、円錐貫入力が増大するのに対して、ニッケル鉱の巨視的な剪断強度は細かな粒子の特性に依存し、大きな粒子が剪断強度に及ぼす影響は有意では無い。そのため、大きな粒子は試料から除去する必要がある。次節に述べる締め固め方法を考慮して、試料の最大粒径は19 mmとした。

 

 

 

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