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おわりに

 

海上輸送される危険物や特殊貨物は、極めて多岐にわたっている。従って、その全てを少数の専門家のみでカバーすることはできない。多くの技術分野の専門家集団によって、それらに対する安全策を講じることができるのである。IMOでは、各国代表団が意見を述べ討議をおこなうが、団員は決して上記のような専門家集団ではないので、技術的事項に関しては、各々自国の専門家集団の的確な意見の上に立脚していなければならない。すなわち、IMOでの議論の前に、各国で専門家集団による十分な情報交換、議論、分析、検討、そして結論付けがおこなわれていなければならない。そうでないと、IMOでの議論は、表面的で形式的な空疎なものになってしまう。

先進工業国である我が国の取り扱う貨物は、工業製品の多様性から、当然多様なものとなる。したがって、他の国々以上にIMOでの議論に多く関係するといってよい。したがって、上記専門家集団の活躍が極めて重要であり、その活動は単に国内問題に留まらず、世界の海事の安全に繋がるといってよい。この専門家集団に対応するものが、我が国では、本委員会である。

本委員会では、IMOに提出される諸問題を検討するだけでなく、独自に調査課題を設定して、その解決策を探求している。こうした地道で総合的な活動が危険物や特殊貨物の輸送の安全を増進するのである。

なお、平成12年度以降においては、次のような課題を重点的検討する調査課題とする。

(1) 液状化物質判別C.G.の継続(国際共同実験を含む。)

(2) BCコード見直しのC.G.への対応(Coordinator: 豪、我が国Contact Person: 船研 太田委員)

(3) 非風雨密ハッチカバーを有するコンテナ船における危険物の積付・隔離要件の提案(IMDGコードの改正提案)

また、引き続きDSC 6への各国への提案文書を詳細に検討し、各種安全基準の改善に努める予定である。

本報告書の作成にあたり、ご協力いただいた関係各位に厚く感謝を表するとともに、本報告書が海上運送の安全の一助として役に立てば幸である。

 

 

 

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