日本財団 図書館


3.但し、外国為替管理等の世界各国それぞれの公法的規制との関係で、為替手形を電子化した場合に問題が生じる可能性がどの程度あるか否か、それと関連して、そもそも、紙の為替手形の機能をそっくりそのまま電子的に実現するシステムを何が何でも構築しなければならないか、電子化にどのようなメリットがあるか、はまた別個の問題です。

 

5-1.電子情報化の課題

 

Q5-1-2:現在、原本を必要とする書類に原産地証明書、領事査証があります。このような制度をEDI化するためにはどのようにすべきでしょうか。

原産地証明書(Certificate of Origin, C/O)は特定の国・地域からの輸入に関し、関税等の減免を行う目的で、当該相手国の機関が発給する証明書を利用する制度です。ここでは二つの国・地域が関係しています。すなわち輸入国と輸出国であり、どちらか一方が相手国に押し付けるものではありません。

このような目的に適合していれば、原産地証明書が紙の書類でなければならない理由はありませんから、将来電子化される可能性が高いと考えます。

しかし、電子的原産地証明書が流通するためには、各国の発給機関が電子化していることは当然として、輸入国税関その他の機関が電子的原産地証明書を有効と認める必要があり、多少時間がかかると思われます。

いずれにしても、貿易に必要な文書の一部が、いつまでも紙の書類で提出する必要があるとすれば、事務の効率化、正確化、迅速化の効果がそがれてしまうので、早期の導入が実現期待されるところです。

電子化されたデジタル文書の原本性を証明することは至難のわざです。しかし、本来その書類が原本性を要求されたところのビジネス要件を別の形で実現することは可能です。たとえば、原産地証明書の原本性が、「当該文書が発行された時点の内容が改竄されていない」と言うビジネス要件を満たすものであるならば、当該文書にデジタル署名を付けるだけで充分でしょう。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION