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4-16.裏書譲渡

 

Q4-16-2:電子式船荷証券の「裏書譲渡」においても「指図式譲渡」「白地裏書」の区別はあり得ますか。

1.電子式船荷証券が発行される実際的前提は、(Q4-10-1)で説明したように、電子式船荷証券の発行・流通・回収のシステムについて、船会社・荷主・金融機関等の参加者、そして電子式船荷証券のシステムの設営・運営者との間で、包括的な契約をあらかじめ取り交わすということ(その合意に則って電子式船荷証券が発行されるということ)です。従って、本質問に対する正確な答は、電子式船荷証券だからといって一義的に決まるものではなく、むしろ逆に、電子式船荷証券のシステムが「指図式譲渡」「白地裏書」の区別を許容するように設計・構成されているかによります。

2.指図式裏書とは、裏書人が被裏書人を指定してする裏書であり、白地式裏書とは、それを指定しないでする裏書です。前者では、当該裏書譲渡を受けた被裏書人がその次の裏書人となって裏書譲渡していなければ、裏書の連続がないことになりますが、後者では、当該裏書譲渡を受けた者は自ら裏書譲渡しても、裏書をしないまま第三者に譲渡して、当該第三者がさらに裏書譲渡してもよいので、船荷証券上その後に誰の裏書譲渡があっても、法的には常に裏書の連続があると認められることになります。

実は、紙の船荷証券についても、この点を明確に規定した国際条約はありません。しかし、紙の船荷証券が世界中をこの方式で裏書譲渡され輾転流通していることは厳然たる事実であり、世界の殆どの国で同様の区別及び効力を認めているものと考えられます。わが国では、商法第519条で準用される手形法第13条第2項及び第14条第2項で認められています。英国では、例えば1794年のLickbarrow v. Mason事件で既にその旨が確認されています。米国では、Federal Bill of Lading Act 1916(S. 28) (但し1994年以降はThe Law Revision Title 49 Act, 1993により改訂された49 United States Code 80104 (a)(1))によって規定されてきております。

3.電子式船荷証券においてこの区別を盛り込むには、どのようにシステムを設計すれば良いでしょうか。

まず、念のため述べますと、紙の船荷証券の白地式裏書といえども、決して、裏書人が裏書をする相手方が、不特定であるということではありません。被裏書人の記載が白地であるだけで、証券を誰か特定の者に交付をすることは(そしてその特定の者が次の所持人になることは)、記名式裏書と同じです。

 

 

 

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