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4-14.種類

 

Q4-14-4:電子式船荷証券にも、order B/Lとstraight B/Lの区別はあり得ますか。あり得るとして両者にはどのような差異があり得ますか。

1.電子式船荷証券が発行される実際的前提は、(Q4-10-1)で説明したように、電子式船荷証券の発行・流通・回収のシステムについて、船会社・荷主・金融機関等の参加者、そして電子式船荷証券のシステムの設営・運営者との間で、包括的な契約をあらかじめ取り交わすということ(その合意に則って電子式船荷証券が発行されるということ)です。従って、本質問に対する正確な答は、それは、電子式船荷証券だからといって一義的に決まるものではなく、むしろ逆に、電子式船荷証券のシステムがorder B/Lとstraight B/Lの区別を許容するように設計・構成されているかによる、ということです。

2.order B/Lとは、荷受人が指図人式(to order)となっている船荷証券であり、straight B/Lとは、荷受人が具体的に指定されている船荷証券です。前者は、裏書譲渡(単にto orderとあればそれはto order of shipperの略であり荷送人からの裏書譲渡、to order of XXXとあればその者XXXからの裏書譲渡)によって輾転流通することが予定されている典型的船荷証券です。後者は、わが国でこそなお裏書譲渡可能(論理的にはそれは荷受人からの裏書譲渡)と法定されていますが26、おそらくこれは世界的には少数派であり、後者は裏書譲渡不能(non-negotiableである)と解されているのが一般ではないかと思われます。

3.電子式船荷証券においてこの区別を盛り込むには、荷受人の指定方法としてこの2通りが選べるようにすれば足ります。

4.問題は、取り交わされる包括的な契約の中で、後者つまりstraight B/Lの場合に、その裏書譲渡の可否につきどのように規定するかです。

冒頭に述べた電子式船荷証券が発行される前提からすれば、論理的には、その可否につき明確な規定をおいて解決を図ることも、あるいは規定をおかないこともできます。上記のとおり、紙の船荷証券の場合その点、実は曖昧である(国により法制が違い得る)以上、規定をおいてその点はっきりさせるのは、電子式船荷証券の本来的目的(紙の船荷証券の代替)を超えるものであり、むしろ、電子式船荷証券のstraight B/Lの裏書譲渡の可否は、紙のそれと同様である旨規定すべきだという見解があり得るでしょう。

 

26 法律上当然の指図証券性・国際海上物品運送法第10条及び商法第776条により準用される商法第574条

 

 

 

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