日本財団 図書館


だから、従来、製造、流通、等の部分単位で考えていた合理化を、仕入、製造、販売、決済までを視野に入れた全体で見直そうとしているのです。その場合、貿易手続きだけが紙の書類と署名の世界で良いわけはありません。

SCM推進のため、電子化は不可避ではありますが、現段階で電子化を推進しようとすれば、関係するすべての企業に電子化採用を説いて回らなければならない点が負担となるでしょう。効果が期待できる反面労力がかかる恐れがあります。近い将来には、関係先から逆に電子商取引を説得される可能性が高いでしょう。

 

2-2. 各業界(荷主・船社・銀行・損保)のメリット及び課題

 

Q2-2-3:貿易に関連する各業界にとってどのようなメリット及び課題がありますか<船杜>

船会社にとっては船荷証券作成時のdata入力作業、発行、check作業の軽減等のメリットが考えられます。又法的にはいわゆる「船荷証券の危機」といわれるように船が高速化したためにB/Lの到着が間に合わないために起こる保証荷渡しを行う必要性がなくなることが船会社にとっての大きなメリットといえます。

しかし省力化のメリットが現実のものなるためには、現在のところ進んでいないフォーマット・コードが共通化される事が不可欠です。又、実用化されても紙のB/Lが当分の間なくなることはないでしょうから、紙と電子B/Lが混在することになり、事務処理コストの面ではその間は逆にコスト増となることすら考えられます。

又現在電子B/Lと呼ばれているものは紙の船荷証券のように法律の裏付けがあるわけでなく、紙のB/Lと同じ法的効力を、契約を結ぶことによって、B/L実現しようとするものです。従って電子B/Lを使用する場合は紙のB/Lに比べると不安定なところが多いのも事実であり、今後の普及には各国の法律による担保が必要になってくると思われます。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION