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売主が買主宛に為替手形を振出し、その引受・支払を確保するために、為替手形と船荷証券を一緒に買主に送付した場合、買主は、為替手形の引受または支払を行わないときは、船荷証券を売主に返戻しなければならないのであり、たとえ買主が船荷証券を不法に所持しても、所有権は移転しません(第3項)。

このように、万一、買主の支払不履行の場合を考えると、売主は、契約の条件または充当の条件として、物品の処分権を留保することが望ましいのですが、通常は、為替手形と船荷証券を一緒に提供することによって、処分権留保を行っています。貿易取引では、通常、引渡条件をCIF条件とし、荷為替手形による決済条件を取り決めます。この場合、船荷証券の発行形式は、売主またはその代理人の指図人(to the order of the seller or his agent)でなければならないのです。

これまで、海上運送状のEDI化が試みられましたが、いずれも成功しませんでした。結論的に、貿易関係手続きのEDI化の場合においても、権利移転と代金決済のために、流通性船荷証券のEDI化が必要であると考えられるに至りました。

 

1-1. 電子化の原点・視点

 

Q1-1-2:よく船荷証券の危機という言葉をききますが、どのようなことでしょうか。また、その対策として、どんなことがおこなわれたのでしょうか

船荷証券の危機とはなにか

別項にて言及しましたが、コンテナによるユニット・ロード・システムや高速コンテナ船の導入等、輸送技術進歩に伴い物品の迅速な輸送が実現したにもかかわらず、伝統的な流通性運送証券である船荷証券が使用されており、船積書類は為替手形と一緒に銀行等を経由して運送品の仕向地へ送付されるので、物品が仕向港に陸揚げされても、船荷証券が到着していないために、荷受人は運送人から貨物を受け戻すことができないという事態が発生しています。このような事態を、船荷証券の危機と呼んでいます。仕向地における船荷証券の延着は、運送品の引渡しを遅延させるだけでなく、保管料その他の追加費用を発生させるほか、港の混雑を増幅させていると指摘されています。

 

 

 

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