海水中の二酸化炭素濃度は上記の変化を除くと、東経140度から西経152度までは亜熱帯域の成層により変化は少なく、320ppmv付近の値を示した。また、西経152度から東進するに従い、320ppmvから353ppmvまで緩やかに上昇する傾向を示した。
4.1.2 082E航(平成11年5月〜6月)の観測結果
082E航は平成11年5月から6月に観測を実施した。結果を図4.1-2に示す。航路は東経140度から西経170度にかけて、北緯44度まで北上し、一部、亜寒帯域の観測を実施した。その後、西経120度にかけて北緯29度まで南下した。
水温は出港直後の沿岸の変化を除いて、東経140度から西経173度にかけて、22℃から8℃まで低下する傾向を示した。また以下の様な局所的な変化も見られた。東経164度から東経165度にかけて14℃から17℃まで上昇した。同様に、東経169度から東経170度にかけて15℃から11℃まで、東経175度から東経176度にかけて13℃から9℃まで急激に低下した。
西経173度から西経136度までは、局所的な変化はなく東進するにしたがって、8℃から17℃まで上昇し、西経136度以東では17℃から14℃まで低下する傾向を示した。
塩分は東経140度から西経157度にかけて、東進するにしたがって35.0から32.8まで低下し、西経157度から西経136度にかけては上昇する傾向を示した。西経136度以東では33.8から33.0までの範囲で変動した。
大気中の二酸化炭素濃度は航海を通してほぼ一定で、その平均値は373ppmvであった。
海水中の二酸化炭素濃度は局所的に急激に、減少する海域があった。特に、東経164度付近では、水温が14℃から17℃に上昇し、海水中の二酸化炭素濃度は342ppmvから298ppmvまで急激に低下した。同様の変化は他にも見られ、東経169度から東経170度付近でも観測された。水温が15℃から11℃まで低下し、これに伴い海水中の二酸化炭素濃度は302ppmvから355ppmvまで急激に上昇した。これらの水温と二酸化炭素濃度の関係は負の相関を示した。
西経163度から西経160度にかけては、海水中の二酸化炭素濃度は364ppmvから289ppmvまで大きく低下した。この期間は水温と塩分の値に変化が見られないので、生物活動により海水中の二酸化炭素が取り込まれた結果、海水中の二酸化炭素濃度が減少していると推測される。
海水中の二酸化炭素濃度は上記の変化を除くと、東進するにしたがって上昇する傾向を示した。海水中の二酸化炭素濃度が東進するにしたがって上昇する傾向は、080E航と同じであるが、その上昇する度合いは080E航より083E航の方が大きくなる結果が観測された。