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第4章 観測結果

 

4.1 各航海毎の二酸化炭素及び水温、塩分の観測結果

 

平成10年度も含めて、これまで5回の航海で観測を行った。各観測の時期は3.1.3項に、航路は3.2項に示したとおりである。航路は商船にとって最も効率の良い針路を選択するので、海況等の変化により季節によって異なる。これまでの観測は、その観測海域から一部亜寒帯域を通過観測した航海、ほぼ東進して亜熱帯域を観測した航海の2つに分けることができる。

北緯40度以北を通過して一部亜寒帯域を観測した航海は082E航(平成11年5〜6月)と083E航(平成11年8月)である。

一方、ほぼ東進して亜熱帯域を観測した航海は080E航(平成11年1〜2月)、085E航(平成11年12月)、086E航(平成12年2月)である。日付変更線より東では082E航(平成11年5〜6月)と083E航(平成11年8月)については、航路がよく一致している。また、080E航(平成11年1〜2月)と085E航(平成11年12月)がよく一致している。

個々の観測結果ついては後述するが、各観測により得られた二酸化炭素の分布についてみると、亜寒帯域を観測した082E航、083E航の2回の観測では、海水中の二酸化炭素の経度分布は同じようなパターンを示しており、海域の変化により海水中の二酸化炭素濃度は大きく変動することを示している。また、夏季に実施した083E航では海水中の二酸化炭素濃度は大気中の二酸化炭素濃度より高く、他の4回の観測では、海水中の二酸化炭素濃度は大気中の二酸化炭素濃度より低い値を示した。これまでの観測結果により、海域による特徴や、季節的変化が明らかになった。

4.1.1 080E航(平成11年1月〜2月)の観測結果

080E航は平成11年1月から2月に観測を実施した。結果を図4.1-1に示す。航路は東経140度から西経140度にかけて、ほぼ北緯35度線を東進し、その後、西経140度以東では北緯26度まで徐々に南下して、全域にわたり亜熱帯域の観測を実施した。

図4.1-1は上段から、A)に大気中と海水中の二酸化炭素濃度を、B)に表面海水の水温、C)に塩分濃度を示す。下段左のD)は対応する航路を示す。082E航〜086E航に対応する以下の図4.1-2〜図4.1-5でも同様に表わしている。

水温は出港直後の沿岸の変化を除いて、東経140度から東経176度にかけて、14℃から19℃まで局所的に変化した。東経176度以東では、大きな変化はなく東進するにしたがって、16℃から18℃まで緩やかに上昇している。

 

 

 

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