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第2章 二酸化炭素観測システムの構築

 

平成10年度に海水中及び大気中の二酸化炭素測定装置、水温塩分測定装置を設置しシステムを構築した。平成11年度には平成10年度に課題となった「観測中の電源電圧の降下、海水流量の変動」等に対応するとともに、安全対策の強化と一括監視を可能とするための観測システムの開発・改良(総合データ処理システムの構築)を実施した。

 

2.1 観測システムの概要

 

二酸化炭素測定装置をメインに海洋観測の基礎項目を測定するため、水温塩分測定装置、位置測定装置を組込んだ。観測システムの概略を図2.1-1に示した。

測定試料については、大気試料はフライングデッキに大気取入れ口を設け、テフロンチューブ(外径3/8インチ、内径1/4インチ)で観測装置設置室(エアコンユニットルーム)の直前まで繋ぎめ無しで配管した。その後室内へのアクセス箇所で1箇所のみ接続部があり二酸化炭素測定装置に接続されている。

海水試料については観測装置設置室内に本船からの海水供給ラインがあり、ここに分岐バルブを増設した。この分岐バルブから安全バルブを経由して二酸化炭素測定用海水(平衡器シャワー部)、平衡器ウォータージャケット用海水、水温塩分測定装置用海水、採水用の各ラインを整備した。本船海水供給ラインから分岐後のラインについては断熱施工を実施した。

排水ラインは各測定装置からの排水を一旦タンクに貯留した後にポンプで強制排水を行い、本船排水ラインを経由して船外に排出している。

位置情報を取得するためにGPSシステムを設置した。アンテナはフライングデッキに設置し、同軸ケーブルで観測装置設置室まで引込み、受信部に接続した。取得した位置情報は、二酸化炭素測定装置と水温塩分測定装置のデータ処理のパソコンに送られ、それぞれ二酸化炭素測定位置と水温・塩分測定位置として観測データと共に記録される。

気象データについては本船船橋にて観測したデータを、気象庁作成の船舶気象報作成ソフトウエアを用いて記録保存をした。

船底水温測定については、海水ラインに開放穴を設置出来ないため、極薄の温度センサーを断熱処理をして配管に直接貼り付けてこれにより行った。加えてその付近の室内温度を測定するため、もう一つの温度センサーを配管から10cm程度離して設置し、海水ポンプアップ場所付近の温度環境のモニタリングを行った。温度センサーは安立計器株式会社製529Eクロメルーコンスタンタン熱電対センサーを使用した。

これらの観測システムに、さらに平成11年度には安全対策の強化のための装置、海水流量調整器及び、観測システムの一括監視を可能とするための観測システム監視用パソコンを新たに導入して、オフラインでの取得データを含めた総合的なデータ処理システムを構築した。全体構成を図2.1-2に示した。

 

 

 

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