フリーアナウンサー
青山佳世
NHK「季節の旅」(土曜日朝8:00放送)で5年間に226ヵ所を旅してまわる。
意識と技術と対応、三位一体。
夏休みが終わったと思ったら、秋の行楽シーズン。休日が増えたので、日本のあちらこちらで旅を楽しむ機会が増えている。今年も富山県八尾市の「風の盆」は、大勢のひとたちで賑わった。一般車両は通行止め。ふだん町民広場として使っている所をロータリーにして100台以上の観光バスが次々到着しては観光客を降ろしていく。しかも、バスとタクシーの通り道を別々にしてさばいているのでスムーズな流れで渋滞でイライラすることもない。「長年のみなさんからの苦情の賜物です。」紅葉で賑わう立山黒部アルペンルートはご存じの通り30年来年間を通して鉄道やトロリーバス、観光バスだけでしか行けない。
こういう取り組みは各地でも少しずつ見られるようになってきた。
「観光客に不親切よね」という文句も聞こえてくるが、そこは意識を変えれば地域のため環境のための対応に納得できるはず。大勢の人達に来てもらうため大駐車場だけを作って交通対策と安心しているだけでよいはずはない。マイカーに頼らせないためには公共交通機関を使い易くする工夫が必要。そうでないと文句がでるばかり。今ある公共交通機関を最大限生かす努力、そして最寄りまでは公共交通機関を使って、あとはタクシーやレンタカーを使うなど、地域に合った方法をこれからも考えていく必要がある。
便利に走ることに流されないための対応と、私たち移動する者の意識改革はこれからも大切なポイントだ。
とはいえマイカーの便利さは現代社会に欠かすことのできないもの。車を利用しながら少しでも環境に負荷のかからない方法を見つけだすことも大きな課題である。
渋滞といっても道路の上がり坂、合流地点によって引き起こされるものも多いとか。
ITSを駆使した自動走行、電気自動車の地域での共同利用の実証試験も各地で始まろうとしている。
都市内の移動や、観光地に着いてからの点と点を結ぶのに威力を発揮しそうだが、どうしたら共同で利用できるか、わかりやすさと使い易さが求められる。環境に負荷の少ない車の開発と交通システムの確立はこれからの車社会に貢献するものと期待する。
利用する私たちの意識の変化と技術開発が相まって初めてスムーズな流れが実現する。
「言うは易し行うは難し」しかし将来のためにみんなでやらねばならないこともあるのだ。