2. 神戸港における「上海・長江交易促進プロジェクト」
(1) プロジェクトの概要
1995年1月に発生した阪神・淡路大震災により、甚大な被害を受けた神戸・阪神地区の復興のため、同年10月に国の阪神・淡路復興委員会により復興特定事業の一つとして「上海・長江交易促進プロジェクト」が提言された。
提言内容
上海経済圏・長江流域経済圏と阪神経済圏を結び、日中経済交流を促進するため、上海国際金融センターの形成と阪神経済圏の発展を連結するとともに、神戸港に河川専用船による直接交易を図るための港区を設置し、その背後に中国人街を整備する。
この提言を踏まえ、96年3月に官民からなる運営委員会(99年7月に「日中 神戸・阪神-長江中下流域交流促進協議会」として再設立)が組織され、神戸港における整備計画が進められるとともに、上海・長江経済圏と神戸・阪神経済圏との交易・交流事業を展開すべく、中国側との具体的な協議が進められることとなった。
中国側の動きとしては、96年12月に中国政府により、本プロジェクトの支持が表明されるとともに、中国側の推進組織として、国家発展計画委員会(中国の経済政策機構)を窓口、江蘇省計画経済委員会を事務局とする「中日 長江中下流域-阪神・神戸地域合作委員会」が99年7月に設立されている。
(2) 具体的事業
1]神戸港関連事業
・長江流域との直航船の就航
長江を直接遡ることが可能な江海専用船(フォーチュンリバー号)がイースタン・カーライナー社(本社東京)により97年2月に就航した。
■フォーチュンリバー号の概要
全長93.9m、全幅18.0m、深さ10.2m、積荷重量トン数5,600トン 20フィートコンテナ200個積載可能、中央部にクレーン二機搭載。バラストタンクを活用することで長江の水位に合わせ、喫水を2.5〜6.65mに調整可能。
■運航スケジュール及び寄港地
約一ヶ月に一度運航する不定期航路で、長江中下流域(南京、上海等)と神戸、横浜港等を結んでいる。