3. 長崎港周辺で生産・消費され、長崎港以外の港湾を利用している輸出入コンテナ貨物(「転換貨物」)
(1) 長崎港周辺で生産・消費される輸出入コンテナ貨物と製造業の関係
1998年度(平成10年度)に実施された「全国輸出入コンテナ貨物流動調査」(1998年10月の1ヶ月調査)によれば、長崎県で生産・消費される輸出入コンテナ貨物量は年間約1.2万TEU(週あたり約240TEUに相当、1TEU=18トンで換算)と試算され、これらのコンテナ貨物のうち、長崎港を利用していない貨物が長崎港利用への転換対象貨物となる。
ここでは、上記調査の結果を用いて、長崎港周辺で生産・消費されるコンテナ貨物の主要品目と、長崎港周辺における製造品出荷額等及び工場立地動向の関係について整理する。
1]長崎県・佐賀県における輸出入コンテナ貨物の主要品目と製造品出荷額等の主要業種
96年における長崎県の製造品出荷額等の上位業種をみると、一般機械器具製造業、電気機械器具製造業、食料品製造業で約7割を占め、特定業種への集中度が高い。
次に、98年10月に長崎県において生産された輸出コンテナ貨物の上位品目をみると、一般機械(事務用機器)が最も多くそのシェアは5割を超えている(事務用機器は45.5%)。次いでゴム製品(ゴム・タイヤチューブ)、電気機器(電気回路等の機器)が1割前後を占めている。以下、魚介類及び同調整品、繊維用糸及び繊維製品と続いている。
93年11月に長崎県で生産された輸出コンテナ貨物と比較すると、まず、輸出コンテナ貨物総量が6割減と大幅に減少している。この要因としては、93年11月に生産された上位品目である電気機器、一般機械等の減少による影響が大きくなっている。特に、電気機器は10分の1以下に減少しているが、その原因は不明である。一方、一般機械、ゴム・タイヤチューブ、電気機器、魚介類及び同調整品といった品目は前回同様、長崎県の主要輸出品目となっている。
長崎県において消費される輸入コンテナ貨物の上位品目では、電気機器が最も多くそのシェアは約2割となっており、その大半を通信機が占めている。次いで、果実及び野菜、衣類及び同付属品、金属製品、非金属鉱物製品と続いている。93年11月と比較すると、輸入コンテナ貨物総量では、2割弱の増加となっている。上位品目の特徴では、飼料や繊維関係原料等の割合が少なくなる一方、電気機器、衣類、金属製品等の割合が高くなる傾向にある。
このように、長崎県においては、県の主要業種である一般機械器具製造業、電気機械器具製造業が、輸出入コンテナの上位品目の生産・消費に大きく関係している。また、地場産業である窯業・土石製品製造業、繊維関連品の輸出入が多い衣類・その他の繊維製品製造業、魚介類及び同調整品の輸出が輸出入コンテナ貨物の生産・消費に関係している。