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第2章

長崎港におけるベースカーゴの検討

 

1. ベースカーゴの考え方

 

本年度調査では、前年度調査の成果である航路展開の方向性および課題に基づき、長崎港の利用促進と効率的な輸送体系の実現に向けた課題解決の方策を検討していく。その中で、ベースカーゴの確保は、船社からみた航路開設の第一条件であり、他の課題解決の方策を考える際にも、ターゲットを明らかにして検討することが有効と考えられることから、本年度調査は、まずベースカーゴの明確化から検討を始めることとする。

具体的には、長崎港のベースカーゴとなりうる貨物を、次の3つに分けて検討することとする。

・長崎港を利用している輸出入コンテナ貨物(以下、「既存貨物」とする)

・長崎港周辺で生産・消費され、長崎港以外の港湾を利用している輸出入コンテナ貨物(以下、「転換貨物」とする)

・新たに創出することが期待される輸出入コンテナ貨物(以下、「創出貨物」とする)

以下では、それぞれについて統計資料等に基づいて、ベースカーゴとなる品目の明確化と、長崎港のベースカーゴとするための条件の整理を行う。

 

2. 長崎港を利用している輸出入コンテナ貨物(「既存貨物」)

 

(1) 長崎港における輸出入コンテナ貨物取扱実績

長崎港においては、1999年7月、韓国・釜山〜長崎〜熊本〜八代間にフルコンテナ船による定期航路(週2便、342TEU積み)が開設されたため、1997年11月に開設された中国航路(廈門(福建省)〜福州(福建省)〜上海〜那覇〜長崎、上海には98年10月から寄港)と併せて、外貿定期コンテナ航路が2航路開設されている。

ここでは、現在長崎港を利用している「既存貨物」について、長崎県資料に基づいて長崎港利用実績を整理する。

 

1]中国航路

中国航路の状況では、97年11月〜99年3月の輸出実績110トンに対し、同時期の輸入実績は7,931トンと大幅な輸入超過となっている。品目では、輸出は機械部品があるのみで、輸入では石材等の鉱産品が9割を占めている。このほかの輸入品目では、鉄鋼製品、艤装品といった金属・機械関係の取り扱いがみられる。

航路開設以降の月別の輸入コンテナ貨物の取扱実績をみると(図2-2-1参照)、98年11月以降、石材の取扱量が増えたため、全体の取扱量も大幅に増えている。しかしながら、99年3月には輸入コンテナ貨物の大半を依存する石材の取扱量が急激に減少したため、全体の取扱量も大幅に減少している。この要因として、福州、廈門からの石材の輸入が特定のプロジェクトの用途として利用されていることによることが大きい。また、金属・機械関係の取扱量が増加しているが、その仕出地をみると(表2-2-2参照)、上海が大半を占めており、98年10月以降、上海にも寄港するようになったためであることが分かる。

 

 

 

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