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まえがき

 

財団法人自治研修協会地方自治研究資料センターは、先に平成4年度日本船舶振興会補助金を受け「地方公共団体における国際化に対応した人材育成に関する調査研究」を行い、その報告書において地方公共団体における国際化の状況を明らかにするとともに地方公共団体としてとるべき研修等の諸方策についての提言を行った。

しかしながら地域社会をとりまく国際化の進展は著しく、従来から地方公共団体における国際化関連事業の中心的存在であった「国際交流事業」に加え新たに「国際協力事業」がその重要性をましつつあり、また、来日外国人・在留外国人の増加に伴う「外国人への対応」も益々その必要性を高めている。このような国際交流・国際協力・外国人居住者の増加等地域社会の変化に適切に対処するためには、要員の育成・確保、関連事務処理体制の整備など緊急の課題であるが、この問題は当局側の対応のみで対処し得るものではなく、職員の1人1人が自ら国際化時代に適合し得る資質・能力を向上することが求められる。

国際化時代を迎え「意識改革を」「国際化対応能力を」とその必要性はつとに指摘されているが、「どのように意識を改めるのか」「どのような能力を身につければいいのか」といった具体的な問題となると、比較的新しく馴染みの薄い分野であるだけに、何を目標にどのように自己研鑽・自己啓発に努めたらいいのか、多くの職員にとっては見当がつかないのが実態であろう。

従って、具体的な行政の場において、具体的に如何なる資質・能力が必要であるかを明らかにし、自己啓発・自己研鑽の目標を明示することが重要である。その一助ともなればとの気持ちから地方自治研究資料センターは平成11年度日本財団(日本船舶振興会)補助金を受け「国際化時代に生きる地方公務員に求められる資質と能力に関する研究会」を設け検討を行うとともに、多くの地方公共団体の関連行政部門のご協力を得てアンケート調査を行い、一般的人事管理部門のほか、国際交流・国際協力部門、広報・広聴部門、保健・福祉部門、消防・防災部門、病院部門、公営交通部門など地方自治行政の諸々の分野における具体的な国際化関連の問題点を洗い出し、その適切な対応・処理に必要とされる関係職員の資質・能力は何であるかを特定し、21世紀という国際化時代に生きる地方公務員の能力向上、自己研鑽、自己啓発の目標を明らかにすべくこの報告書を作成した。

本報告書が全国300万を超える地方公務員の国際化時代を迎えての意識改革・資質向上・能力育成の具体的な目標策定に些かなりとも資することができれば望外の幸いである。

 

平成12年3月

 

財団法人 自治研修協会

理事長 立田清士

 

 

 

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