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■事業の内容

我が国交通運輸の現状は、大都市圏や地方中核都市において通勤混雑や慢性的な交通渋滞問題が深刻化しており、これに対し従来より、鉄道・道路等のモード毎に各種施策が講じられてきたが、各交通モードを総合した対策が進んでいるとは言えず、未だ抜本的な解決には至っていない。
 このような交通混雑が我が国経済や国民生活に与える損失は非常に大きいと考えられる上、限られた財源・空間、地球温暖化問題など交通による環境負荷の制約など経済社会活動を営む上での諸制約の中で通勤混雑緩和の解消や物流効率化など産業の活性化等を図っていくためには、総合的な視野に立って、鉄道、バス、マイカー等の役割分担を検討し、道路と鉄道の連携強化による交通機関の選択の幅の拡大、都市計画など街づくりと連携した交通網の整備が重要である。
 本事業は、将来におけるモード横断的な交通需要の誘導方策(乗入れ規制、ピークロード・プライシングの導入等)、需要誘導を勘案した交通インフラ整備の財源確保方策等の企画・立案に資するため、諸外国における交通需要誘導策の導入事例等を調査し、円滑な交通の確保のための交通モード間の横断的な需要誘導策のあり方についてハード・ソフト両面から検討を行い、事業を実施した。
(1) 実施方法
 (財)運輸政策研究機構内に委員会を設置し、調査方法の決定、調査内容の検討を行い、モデル運行を実施し、作業の一部を専門機関に委託した。
(2) 調査項目
 [1] モード横断的な交通需要誘導策の整理と分析
 [2] 需要誘導を勘案した交通インフラ整備の財源確保方策の検討
 [3] 諸外国における交通需要誘導策の導入事例の調査・分析
 [4] 交通モード間の横断的な需要誘導策のあり方についての検討
(3) 実態調査
 [1] 海外調査
   ・12月2日〜12月13日 欧州
    欧州における交通誘導策の導入事例調査
    訪問国:ドイツ、スウェーデン、ノルウェー、英国
   ・12月9日〜12月14日 米国
    米国における交通誘導策の導入事例調査
     訪問国:アメリカ
(4) 報告書作成
 [1] 部 数  250部
 [2] 配布先  関係官公庁、関係諸団体、大学等
■事業の成果

本調査は、将来におけるモード横断的な交通需要の誘導方策(駐車場利用、ピークロード・プライシングの導入等)、需要誘導を勘案した交通インフラ整備の財源確保方策等の企画・立案に資するため、以下のように交通需要誘導策の導入事例等を調査し、円滑な交通の確保のための交通モード間の横断的な需要誘導策のあり方についてハード・ソフト両面から検討を行った。
・米国の公共交通会計の導入並びにその後のISTEA、TEA21における公共交通と道路との整備予算の配分に関する事例
・米国のポートランドにおける駐車場利用規制ならびに公共交通手段の導入に関する事例
・米国のカリフォルニア州におけるレギュレーションXVの成立から発展的解消にいたるまでの事例
・独国における鉱油税の公共交通への配分ならびにその配分権限の地方政府への委譲に関する事例
・英国・ロンドンにおける混雑料金制度に関する議論及び最近の動向に関する事例
・スウェーデン・ストックホルム都市圏のデニスプランにおける、ロードプライシングの導入ならびにその収入の公共交通への配分等に関する議論の事例
・ノルウェー・オスロにおけるトールリングの設置に関する政治的合意及びその後の変化に関する事例
 本調査結果は、今後交通モード間の交通需要誘導策を検討する上での基礎資料として大いに活躍されるものであると考えられる。





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