■事業の内容
本事業は、神戸港における港頭地区通過貨物の実態、利用者ニーズ、港湾物流事業者等の意向を十分踏まえ、神戸港港頭地区における物流事業の活性化のための課題の抽出と、これを克服するための具体的方策について検討するため、実施した。 (1) 港湾物流事業者の意向等把握 神戸港の港湾物流事業者が感じている問題点及び今後の事業展開の方向性等を把握することを目的として、神戸港の港湾物流事業者を対象にヒアリング調査及びアンケート調査を実施した。 ・アンケート調査 (調査対象) (回収数) (回収率) 港湾物流事業者 175社 103社 58.9% ・ヒアリング調査 (調査対象) 港湾運送事業者 4社 倉庫業者 2社 以上の調査結果について、小委員会(平成11年1月26日開催)、委員会(平成11年2月8日開催)に報告、検討した。 (2) 港湾物流に対する利用者ニーズの把握 港湾物流に対する利用者の意向を把握することを目的としてアンケート調査及びヒアリング調査を実施した。 特に、外貨コンテナ貨物の取扱いが多く、神戸港を素通りする流通経路を持つ主企業若しくは、近年外貨コンテナ貨物の取扱いを神戸港から他港にシフトさせた荷主企業については、ヒアリング調査を実施することにより、神戸港を回避した要因やそのことによるメリットについて把握した。 ・アンケート調査 (調査対象) (回収数) (回収率) 荷 主 企 業509社 145社 28.5% ・ヒアリング調査 (調査対象) 荷主企業 4社 以上の調査結果について、小委員会(平成10年9月29日開催)、委員会(平成11年2月8日開催)に報告、検討した。 (3) 神戸港通過貨物の物流動向調査 神戸港における貨物の流れに関する現状把握の深度化を図るため、神戸港所在のターミナルオペレーターを対象としたアンケート調査により、港頭地区を素通りするコンテナ貨物の追跡調査を行い、神戸港外貨コンテナ貨物流通の現状把握の深度化を行った。 ・アンケート調査 (調査対象) (回収数) (回収率) コンテナターミナルオペレーター 7社 7社 100% 以上の調査結果について、小委員会(平成10年9月29日開催)、委員会(平成11年2月8日開催)に報告、検討した。 (4) 国内主要港の港湾物流動向把握と対策調査 神戸港と同様の課題を持つ国内他港の物流事業者へのヒアリング調査を実施し、港湾物流における課題解決方策及び物流事業活性化のための具体的な取組みについて把握した。 ・ヒアリング調査 (調査対象) 横浜港港湾物流事業者、団体 6社 1団体 名古屋港港湾物流事業者 4社 以上の調査結果について、小委員会(平成11年1月26日開催)、委員会(平成11年2月8日開催)に報告、検討した。 (5) 調査のまとめ、報告書の作成 ・部 数 A4版 200部 ・配付先 関係官庁70部、地方自治体24部、関係団体32部、研究機関9部、調査研究委員会委員27部、その他38部
■事業の成果
本調査は、神戸港港頭地区の物流事業の活性化について、神戸港における港頭地区通過貨物の実態、利用者ニーズ、港湾物流事業者等の意向を十分に踏まえ、課題の抽出と、これを克服するための具体的方策について検討したものである。
この結果、荷主企業には港頭地区という概念そのものがなく、港頭地区で物流事業を営む事業者に対する要望も単なるコスト削減、24時間荷役といったものにとどまらず、コンサルティングサービスの実施等、物流全体を包括して請け負えるような事業者に転換していくことを求められる段階にまで高度化してきていることが明らかになった。
これらの結果をもとに、港頭地区の物流事業の活性化に向けた取り組むべき方向性として内陸部の物流事業者と比較して遜色のないサービス水準を確保することにより今以上の貨物の素通り化を抑制した上で、流通加工業務の充実による素通り化してしまった貨物の再開誘致を図り、引いては港頭地区のポテンシャルを活用した総合物流業への転換が必要であると指摘した。
この成果が、神戸港における物流事業者の事業転換に寄与し、さらに神戸港における取り組みが他の港の手本となることによって、我が国港湾における物流産業の展開の礎となるものと思慮する。
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