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■事業の内容

本事業は、近畿圏における輸入消費財物流等のあり方に焦点を当て、近畿圏の企業における消費財輸入の実態、問題点・課題を明らかにし、近畿圏として取り組むべき効率化のためのシステムの方向、具体化のための方策を検討するため、実施した。
(1) 急増する消費財輸入への対応の検討
昨年度に引き続き、近畿圏における消費財輸入の動向を把握するため、荷主企業、運輸事業者に対するヒアリング調査、及び、運輸事業者269社に対するアンケート調査を実施した。
 昨年度提示した消費財輸入における7つのニーズの再確認を行うとともに、具体的なニーズを把握し方策検討に活かした。
  ・ヒアリング調査
  (調査対象) 荷主企業   11社
         フォワーダー  2社
         物流業     8社
  ・アンケート調査
               (調査対象)  (回収数)  (回収率)
   海上コンテナ輸送事業者  269社    83社    30.9%
 以上のヒアリング、アンケート調査結果並びに昨年度の荷主企業アンケート調査結果を踏まえて、ワーキンググループ(平成10年12月10日開催)及び委員会(平成10年12月24日開催)において検討し、消費財物流のあり方の具体化方策の検討に活かした。
(2) 関連する諸制度、システムの改善等方向性の検討
現状の大阪港、神戸港、関西国際空港が抱える問題点の把握の他、近畿圏内のその他港湾が抱える問題について検討を行った。
大阪港・神戸港については既存のシステムが出来上がっており、そのシステムをいかにリニューアルするか、関西国際空港についてはシステムが出来つつある中で新たなシステム構築をどのように図るか、その他港湾についてはシステムの前提となるネットワークの構築の仕方をどうするのか、等に視点を置き検討した。
既存資料により、消費財輸入に係わる我が国の輸入促進地域等の状況、輸入促進地域等における関連施設の内容、地方港における定期コンテナネットワークの現状を収集、整理するとともに、昨年度調査結果を踏まえ、現状での物流システムにおける課題及び、今後の物流システム構築上の課題を委員会 (平成10年12月24日開催)で検討し、消費財物流のあり方の具体化方策の検討に活かした。
(3) 物流円滑化等事例調査
事例研究地域として、川崎港の容積率の見直し地域、東京エアカーゴシティターミナル、上海に商社機能を共有する広島卸センター、セードパーティロジスティクスを実施する大手商社等を取り上げ、それぞれ方策検討の際に活かした。
調査結果について、委員会 (平成10年12月24日開催)に報告のうえ、消費財物流のあり方の具体化方策の検討に活かした。
(4) 近畿圏における消費財物流等のあり方の検討
近畿圏における消費財物流等のあり方として「多様な消費財輸入構造に対する最適なトータル・輸入ロジスティクスサービス提供地域」を掲げた。
近畿圏は既にある程度の輸入物流システムが出来上がっていることから、抜本的なシステムを導入するのではなく、既存のシステムのリニューアルを基本的な考え方としている。
このトータル・輸入ロジスティクスサービス提供地域を実現化するため、方策として50近くを提案している。
 本調査では、5つの枠組みで方策を提案している。具体的には、企業の国際物流構築目的に合致させるための方策、関西国際空港を輸入拠点化とするための方策、大阪港・神戸港の一層充実した機能展開のための方策、その他港湾における新たなシステムを構築するための方策、最後に環境を向上させるための方策である。
 上記(1)〜(3)の調査・検討結果を踏まえ、委員会・ワーキンググループ (平成11年2月17日開催)で検討のうえ、近畿圏における輸入消費財物流のあり方について具体的に提案した。
(5) 調査のまとめ、報告書の作成
調査のとりまとめについては、学識経験者、専門家、行政担当者等からなる委員会、学識経験者、行政担当官からなるワーキング部会を開催し、とりまとめ方向について検討を行った。
以上の検討を行い、報告書を作成した。
・部 数  A4版 200部
・配付先  関係官庁70部、地方自治体28部、関係団体22部、研究機関9部、調査研究委員会委員38部、その他33部

■事業の成果

本調査は、2年間にわたり、近畿圏における消費財物流の実態を詳細に把握し、また、その実態から今後、実施すべき方策を網羅的に示している。
 近畿圏における消費財物流の実態については、数多くのヒアリング、アンケート結果から近畿圏の消費財の物流メカニズムを明らかにしたものであり、今後、各地方自治体、民間企業が輸入物流の効率化を検討する際の有用な情報となると考えられる。特に、6つの輸入実態パターンを示し、阪神港の強み、弱み、さらには国際物流決定機能の有無を介した近畿圏が抱える業務機能の状況を示しており、従来つと異なる視点での分的を展開している。

 実施すべき方策については、国、地方自治体、民間団体、民間企業が実施すべき約50を提案している。方策については可能な限り先進事例を紹介しており、各方策の実施主体が今後、検討する際の有用な情報を提供している。方策については短期的に取り組むべきもの、中長期的に取り組むべきものを示し、さらに、イメージとして実施主体を記述している。

 本調査は、7度の委員会において内容の検討が進められており、本調査の情報は参加した行政担当官、民間有識者を通じて多方面に情報が発信されているものと考えられる。





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