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■事業の内容

海上交通の安全性・効率化、地球温暖化解明等の重要施策に不可欠な、地球規模の海洋及び海上気象のデータを収集し、それらを用いた解析・予測手法技術の高度化を図り、海難防止、産業振興等社会の発展に寄与することを目的とし、本事業を実施した。
(1) 船舶気象観測資料の電子媒体化
「神戸コレクション」海上気象観測データのうち、電子媒体化されていない約250万通から約25万通を電子媒体化し、KoMMeDS−NFデータセットを充実させた。
(2) CD−ROMの作成
 平成7年度〜平成8年度に電子媒体化し品質管理されたデータをCD−ROMに格納し、気象関連及び利用者に配布した。
 [1] 規 格  ウィンドウズ用
 [2] 枚 数  500枚
 [3] 配布先及び配布数
  a.配布先  関係機関(WMO−世界気象機関−外国気象機関、運輸関係部局、気象庁)大学等研究機関、公益法人
  b.配布数  500枚
(3) 統計解析
KoMMeDS−NFデータセットとCOADSデータセットを統合し、これらのデータの精度を相互比較した上で、全球の海洋気候の特性と気候の長期変動を解析した。専門家による詳細な解析及び気候変動研究を行った。
(4) この事業を推進するにあたり、当協会内に委員会を設置して、研究計画の策定、研究の推進及び検討を行った。委員会は次の2回実施した。
 第1回  7月15日
 第2回  2月23日
(5) 報告書の作成
 [1] 規 格  A4判 116ページ
 [2] 部 数  200部
 [3] 配布先及び配布数
  a.配布先関係機関(運輸関係部局、気象庁、公共企業体等)大学等研究機関、公益法人、
海事港湾関係者等
  b.配布数  200部
■事業の成果

(1) 神戸海洋気象台が1889年から1960年まで収集した「海上気象報告」のうち、1901年〜1921年の約26万通を電子媒体化した。これらを平成7〜9年度事業で作成したデータに合わせると、今まで約159万通のデータが電子媒体化された。

 

(2) 品質管理を行った後の「KoMMeDS−NF」データセットをデレクトリ形式で整理しCD−ROMに格納した。このCD−ROMは国内外の気象、海洋関連機関へ配布された。

 

(3) データ解析の結果、KoMMeDS−NFデータセットの有効性が確認された。これらデータを用いた気候解析の結果、太平洋東部においてENSOに相当する3〜6年程度の周期が卓越し、その他の海域では概ね10年程度の周期が卓越することが示された。1940年代の気候ジャンプは北太平洋中部及び西部において顕著な現象であることが明らかにされた。

 

(4) 北太平洋における海面熱フラックスが1950年以降より以前で小さい原因が、風速の違いにあることが明らかになった。この違いは観測方法の変化等の人工的な理由によるものである可能性が高い。緯度経度5度内の月毎の単純平均において、BOX内に気候値の勾配が存在することに起因する誤差の大きさを評価した。





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