■事業の内容
エジプトアラブ共和国(スエズ運河庁)は、スエズ地区に小規模の造船所を有し、解体工事を小規模ながら実施してきた。海洋環境保全の観点から今後建造されるタンカーはダブルハル(二重船体構造化)が国際条約によって義務づけられていることもあり、古いタンカー解体工事の需要の増加が見込まれている。他方、同国内において鉄の需要が見込まれることから、大規模な解体ドックの建設を検討している。しかし、同国はドック建設計画策定に係わる技術力もないことから当協会に本計画の策定について協力を要請してきた。ついては、調査団を現地に派遣して調査を行い、ドック建設の技術的検討と鉄の需要予測を実施した。又、国内では解体需要予測と経済性の検討を行い、エジプト・スエズ運河庁リサーチセンターでセミナーを開催し、同国の解体ドック建設計画の策定を支援し、事業化のために適切な提言を行った。 (1) セミナーの開催 [1] 「エジプト運河庁解撤プロジェクト」 a.テーマ 「解撤プロジェクト事業化」 b.内 容 (a) スエズ運河庁の活動及び解撤需要について (Mr.Wael S.Kaddour) (b) 解撤プロジェクト事業化の調査結果 (井上年行氏) c.日 時 平成10年9月7日(月) d.場 所 スエズ運河庁リサーチセンター(イスマリア) e.参加者及び参加数 (a) 参加者 スエズ運河庁、造船工場関係者など (b) 参加数 50名 f.配布物 (a) 規 格 A4判 35ページ 1色 (b) 部 数80部 [2] 報告書 a.規 格 A4判 89ページ b.部 数 50部 c.配布先及び配布数 (a) 配布先 運輸省、外務省、在エジプト大使館、スエズ運河庁など (b) 配布数 50部 (2) 現地の調査 [1] 調 査 a.調査項目 鉄の需要調査、ドック建設候補地の自然条件調査(地形、深浅測量、気象、海象)、支援インフラ調査(電力、燃料、水)、建設コスト(単価)、解体需要調査(国内)、設備計画(代替案の策定)、操業計画、経済評価(概略)、総合評価の実態について b.調査方法 (a) 協議、情報収集調査 イ.調査対象 (イ) スエズ運河庁 (ロ) 在外日系事務所 (ハ) プロジェクト現場など c.実施者 復建調査設計(株) 国際事業部次長 井上 年行氏 復建調査設計(株) 沿岸開発部長 河野 徹氏 [2] 検 討 現地調査に基づき、スエズ運河庁とのプロジェクトに関する問題点と方針についてエジプト側及び調査団と十分協議した。自然条件資料、解撤船の動向、エジプト国内における鉄の価格動向などの検討をおこなった。
■事業の成果
(1) 本事業の結果、エジプト解撤プロジェクトの事業化は技術的にも経済的にも実行可能であることが明らかになった。
(2) 調査により策定した事業化案については、エジプト側の関係者に説明し、理解を得られることにより、承認されたので、事業化の検討がなされることになる。
(3) 事業化策定に関する技術、ノウハウがエジプト側に伝えられた。
(4) エジプト側は短期間に事業化案が策定されたことを高く評価している。
(5) 海外経済協力基金関係者から本事業に高い評価がなされた。
|
|