■事業の内容
中型造船業が21世紀に向かって健全に発展していくためには、第1にグループ化・集約化による企業体力の強化と需給構造の改善が必要である。また、優秀な若年労働力の獲得、全生産工程におけるコスト削減、高度情報化への対応も焦眉の急となっている。 このため、上記のうち団体で集中的に実施することが望ましい事業をバランスよく推進し、参加企業のグループ化・集約化及び個別近代化に対して制度的な支援を行い、中型造船業を魅力ある産業とするための基盤作りを目的として、本事業を実施した。 (1) 構造対策推進指導 [1] 四国、中国、九州、近畿・神戸、関東、中部、北海道地区における構造対策説明会に出席し各地域における造船事業者の意見を聴取した。 [2] 今後の設備対策、受注対策、環境対策、助成措置利用等について意見交換するとともに、個別企業指導を行った。 北海道地区(1社)、東北地区(2社)、関東地区(1社)、東海地区(1社)、神戸地区(2社)、中国地区(5社)、四国地区(8社)、九州地区(9社) [3] 4地区(九州、中国、四国、東海阪神)において委員会を開催し、本年度実施事業の内容、中小企業施策の内容等について周知を図るとともに、本年度計画の進捗状況、来年度の近代化計画について意見を聴取した。 [4] 上記委員会と併せて「中小造船業の現状について」の講演を行った。 a.日 程 平成10年8月19日、8月20日、9月2日、9月3日 b.場 所 北九州市、広島市、今治市、神戸市 c.講 師 公認会計士・柿島 勝氏 (2) 生産システムの高度化 下記の通り現地調査、工場見学を実施するとともに、併せて生産管理改善分科会を現地開催し、コスト削減等のための検討を行った。 [1] 現地調査及び工場見学 a.実施日時:平成10年6月16日(火)9:30〜11:30 実施場所:青森県八戸市、北日本造船(株) 調 査 員:砂川 祐一氏、高武 淳夫氏 b.実施日時:平成10年8月31日(月)13:00〜17:00 実施場所:大分県臼杵市、(株)臼杵造船所・南日本造船(株) 調 査 員:砂川 祐一氏、高武 淳夫氏 c.実施日時:平成11年2月9日(火)13:00〜17:00 実施場所:広島県尾道市、尾道造船(株)尾道造船所 [2] 生産管理改善分科会 a.開催日時:平成10年6月16日(火)12:00〜15:00 開催場所:青森県八戸市、八戸プラザホテル1階「琴」の間 b.開催日時:平成10年9月1日(火)10:00〜13:00 開催場所:大分県臼杵市、ニューホテル玉屋2階「寿楽」の間 c.開催日時:平成11年2月10日(水)9:30〜12:30 開催場所:広島県尾道市、グリーンヒルホテル尾道3階「ボンシェール」の間 (第4回生産システム高度化委員会として開催) (3) 高度情報化への対応 [1] コンピュータリゼーションの推進 開発済みのパソコン用船舶計算プログラムのウィンドウズ95環境への移植を推進した。また、開発プログラムの取扱説明書を下記の通り作成した。 a.印刷物 船舶設計計算プログラム取扱説明書(追加分) b.内 容 重量重心トリム計算、静水中復原性計算、損傷時復原性計算プログラムの操作方法、入力データ説明等 c.仕 様 A4オフセット印刷、30頁100部 [2] 高度情報化への対応 9年度に開設したインターネットホームページの情報の見直し、情報提供の拡充を行った。 修繕船作業の標準化、作業のコード分類について詳細検討を行うとともに、モニター企業を選出し、作業コード等について意見を募ることとした。 また、修繕船のメンテナンスデータ運用の標準化及び最適化について検討し、簡易見積落成書作成システムに係るプログラムモジュールを開発した。 a.成果物1 「インターネットホームページのコンテンツ」 内容:当会ホームページのHTMLテキストファイル及び使用説明書 b.成果物2 「簡易見積落成書作成システムのプログラムモジュール」 内容:基本設計報告書(取扱説明書)、修繕作業コード化進捗報告(コード分類表及びプログラムモジュール (4) 法制度に基づく近代化の支援 個別企業の構造改善計画等を作成するための調査票を印刷配布した。また、同調査表を回収・整理・集計するとともに計画作成指導を行った。 個別企業の実施事業を中小企業近代化促進法の構造改善事業、及び労働力確保法の雇用管理改善事業の法令様式に取りまとめ印刷した。 [1] 印刷物1 「平成11年度構造改善計画書」 a.内 容 :参加各社の近代化事業計画、設備計画、資金計画、生産高推移等 b.仕 様 :A4オフセット印刷、67頁190部 [2] 印刷物2 「平成10年度構造改善実施状況」 a.内 容 :参加各社の近代化事業実施結果、設備近代化実績、資金調達実績等 b.仕 様 :A4オフセット印刷、82頁190部 [3] 印刷物3 「平成10年度末における雇用管理改善計画実施状況報告書」 a.内 容 :参加各社の改善事業実施結果、設備改善実績等 b.仕 様 :A4オフセット印刷、43頁190部
■事業の成果
会員企業45社(事業終了時)の参加を得て本事業を実施した結果、次の通り成果を挙げることができた。
参加企業各社の成果としては、新技術等の開発(事業費6億円)、生産体制の整備・規模等の適正化等(同、136億円)、広報宣伝等(同、6千万円)労働時間の短縮・就労環境の改善・公害防止・雇用の維持等(同、16億円)の事業を実施した。また、構造対策事業については、船台能力の移設により特定船舶製造事業者2社の削減を果たした。
当会が中心となって行った事業では、構造改善事業及び雇用管理改善事業の実施により参加企業の租税特別措置活用を促進し、節税総額は7千万円(平成10年度証明書発給ベース)に達した。 雇用管理改善事業は本年度が最終年度となるが、本来の目的である労働力の確保については、事業開始前の求人充足率(新人40.4%、中途採用53.0%)に比べそれぞれ新人83.1%、中途採用95.6%に向上した。 また、コンピュータリゼーション事業においては、[1]船舶基本設計に不可欠な排水量計算から損傷時復原性計算までの処理がウィインドウズ化され設計効率の向上を図ることができたこと、[2]修繕作業のコード分類が概ね達成されたことによりこれを利用した標準仕様書、見積書、落成書等文書作成システムの核となるプログラムモジュールを作成し試験運用にはいることができたことなどが挙げられる。 生産システム高度化事業は本年度が最終年度であり、3地区において工場見学等を実施し多くの参加者を得たほか、委員会報告書として「生産システム高度化指針」を取りまとめ、今後の相互技術交流事業にテキストとして活用することとした。
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