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■事業の内容

本年度は、平成9年度から3カ年間で実施する作業船の運転訓練用シミュレータの開発研究の2年目にあたり、シミュレータに盛り込む要素別技術、運転アルゴリズム及びシミュレータ本体の設計等シミュレータ製作の為の具体的な事項の調査、計測、検討、解析並びに選定を行った。
(1) 作業船の運転訓練用シミュレータ開発研究委員会の設置
 昨年設置した開発研究委員会を継続させ、当協会会員の専門家、関係官庁・諸団体及び大学からの学識経験者により構成される本委員会(16名)と具体的に開発研究を実施する小委員会(11名)により本事業を推進した。
 [1] 本委員会 2回
 [2] 小委員会 3回
(2) 要素別運転技術の調査解析
 共通運転技術である操船・位置決め作業について、その運転技術を解析し、基本フローを作成した。また、起重機操作に伴う船体姿勢制御についても同様にその運転技術を解析し、基本フローを作成した。
(3) 運転アルゴリズムの確立
 数隻の作業船を選び、実船に訪問して、ヒヤリングをおこない、運転方法に関する船長等の生の声を聞き取り調査をおこなった。
  調査対象船舶 : 起重機船
  調査件数   : 3隻
 その結果に基づきシミュレータの具体的開発項目やシミュレータの具備すべき項目を選定した。
 実船計測は、多目的作業船にて操船等に関するデータ収録をおこない、運転アルゴリズム確立に必要なデータとして整理・解析し、共通運転技術のフローチャートを作成した。
(4) シミュレータの設計検討
 共通運転技術である操船・位置決め作業及び離接岸作業をシミュレートする為の力学的モデル及びその数値解析法を検討し、来年度実施予定のプログラミングの基礎を構築した。
 運転フローチャート及び実船調査等により判明した運転シミュレータに必要な装備品等を考慮して、運転シミュレータの機器構成図、盤面図、表示画面のイメージ図等を作成し、基本仕様を固めた。
■事業の成果

本年度の事業推進に当たり、現場のニーズを詳細に調査・解析し、最終成果物であるシミュレータが広く利用されることに主眼をおいて、諸作業をおこなった。その結果下記の成果を得ることができた。これらにより、「幅広く利用」されるという課題を実現できるものと考える。
(1) シミュレータの具体的開発項目
 共通運転技術である操船・位置決め作業を対象とし、それに付随する運転操作項目も採り入れ、作業海域の図面の表示、GPSとの連動等単なる机上の訓練ではなく、実戦訓練を可能にし、実作業の事前チェック機能をも持たせることが肝要であるとの結論に達した。
(2) シミュレータの基本設計
 数多くの訓練者に簡便に利用できるよう、即ちどこか一定の場所(例えば訓練センター)に設置して、そこで訓練するのではなく、どこの場所(例えば現場事務所或いは稼働中の作業船)にも持ち運びできる可搬式とし、操船モニタ装置と船位モニタ装置の2台のCRT一体型装置により構成され、前者の装置は運転訓練用或いは模擬操作用とし、後者の1台を教師用とし、運転訓練或いは模擬操作の為の基礎データ及び時々刻々と変化する海象データの入力用装置とし、特定の場所での操船訓練或いは模擬操作ができるよう詳細な仕様を固めることができた。





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