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■事業の内容

我が国では、企業活動にかかわる全情報の一元化により、品質・生産性の向上が可能となるCALS(生産・調達・運用支援統合情報システム)の導入に向けた取組みが本格化している。
 本事業は、舶用工業事業者のCALSへの対応を促進し、高度情報化を通じて経営基盤強化、舶用機器の高度化を促進し、海運・造船関連産業の振興に寄与することを目的に実施した。
(1) 舶用工業の高度情報化システムに関する調査研究
 [1] 舶用工業の高度情報化に係るフォローアップと広報
   平成9年度に実施した内外の情報化動向調査の把握を行い、舶用工業に即した高度情報化の基本的コンセプトを明確にして、情報化の具体的シナリオを作成した。
 [2] 舶用工業へのCALS導入のフィージビリティスタディー
   平成9年度の高度情報化ソリューションのとりまとめを受け、ERPパッケージソフトの考え方を仮想適用して舶用工業の特徴を広く網羅していると思われるエンジンメーカをモデルにケーススタディを行った。
   さらに、この検討内容を高度情報化適用ガイドラインとしてとりまとめ、舶用工業各社が自社の情報化を検討する上でCALS化へのモデルの一つとして明確に示した。
   また、9年度のソリューションの一つである電子申請について、実業務で使用する申請図書を使用して実験を行い、電子申請実用化のフィージビリティを検証し、PDFをベースとした電子申請実現環境を明示した。
   別に、舶用工業の会員に対して平成8年度と10年度時点さらに今後3年後の情報化の進展を調査するためのアンケートを実施した。
   また、高度情報化については、企業経営者の理解と認識が必要であることから、経営者及び企業の推進担当者を対象に、次の講演会を実施し、啓蒙普及活動を行った。
  a.講演会「ネットワーク構築の戦略について」
   (a) 日 時  平成10年9月29日(火) 13:30〜16:30
   (b) 場 所  大阪マーチャンダイズマート 会議室
   (c) 出席者  70名
 b.講演会「わが社の高度情報化社会への取組みについて」
   (a) 日 時  平成10年12月10日(木) 13:30〜16:00
   (b) 場 所  航空会館 会議室
   (c) 出席者  90名
 c.講演会「情報化時代を生き抜く戦略的経営システム」
   (a) 日 時  平成11年3月5日(金) 13:30〜17:00
   (b) 場 所  日本財団ビル ホール
   (c) 出席者  70名
 [3] 報告書の作成
 a.規 格  A4版 300頁
 b.部 数  300部
 c.配布先  会員、委員、その他
(2) 情報サービス・ステーションの整備
   インターネット等を利用した舶用工業の企業活動に必要な情報を提供するとともに、相互に情報交換ができるよう、実証運用のためのサービスステーションの整備を実施した。
 [1] インターネット環境の整備
   情報化を企業内で推進するには、係わる人それぞれが対応力を身につける事が重要であると考え、平成9年度構築したインターネット環境をベースに、a.情報発信の向上、b.情報交換の開始、c.デジタルデータ交換のテストベンチ的役割を行うよう整備を進めるべく、適宜各種トライアル実験を行った。
   また、会員限定の電子会議の導入を開始した。
 [2] 情報発信・交換資料の作成及び運用
   グローバルコモンズ(株)とコンテンツ制作及び関連システム設計構築に関する委託契約を締結し、内容について委員会で検討しながら、運用を行った。
 [3] 報告書の作成
  a.規 格  A4版 50頁
  b.部 数  15部
  c.配布先  委員、その他
■事業の成果

我が国舶用工業が今後とも国内の基幹的な産業として存立し、造船分野のリーディングカントリーとして国際的にリーダーシップを発揮していくためには、国内的には産業の成熟化に対応しうる先端的技術を駆使した高度情報化の推進、対外的には国際競争の激化に対応しうる更なる経営・生産基盤の強化を図る必要がある。
 本事業では、このような厳しい社会環境の中で、平成8年から10年度までの3カ年をかけて実施し、舶用工業を取り巻く諸問題に対応しうる体制と仕組みを明示し、舶用工業事業者の経営方針の一助となることを目指している。
 各事業年度の内容は、次の通りである。
 ・平成8年度:情報化社会とは何か、情報化の進展が舶用工業に及ぼす影響について分析し、業務プロセスを検討した。
 ・平成9年度:現状技術を活用した業務上の問題解決策を7つのソリューションとして具体的に明示した。
 ・平成10年度:次世代生産・調達等企業経営の姿として主要となるであろうソフトの1つであるERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)を舶用工業へ仮想適用し、高度情報化のケーススタディと電子申請実用化のフィージビリティの検証を進めた。
 また、平成9年度からスタートした情報サービスステーションの整備については、サーバーシステムの構築を通じて、インターネットを利用した会員企業の情報発信、交換能力の獲得、向上が図られた。
 この3年間を振り返ると、特徴的なことはインターネットがすさまじい勢いで伸びてきたことである。なかでも電子メールやWWWの有用性が認められ企業にも爆発的な普及を見せている。
 この時期に本事業が実施されたのは、まさに時宜を得たもので会員が情報化に対しての取り組みの重要性を認識し、情報化着手への動機付けに大きなインパクトを与えたものと確信する。





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