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■事業の内容

本事業は、摩擦抵抗低減のメカニズムの調査、解明を行って効果的で実用的なデバイスや方法を提案し、またその低減効果の尺度影響について検討し、さらに実船実験を実施して提案されたデバイスの実船への適用性について検証することを目的に、4カ年計画の第1年度の研究として、実施した。
(1) メカニズムの研究とデバイスの考案
 [1] マイクロバブル法
   マイクロバブル法に関して、実験法と実験データ、理論モデルと計算法の文献調査と、特許調査を行った。次に模型スケールでのマイクロバブル法による摩擦抵抗低減のメカニズムを調べるため、小型回流水槽を用いてマイクロバブルの摩擦抵抗低減効果、局所ボイド率分布、PIVを用いた流速分布の計測を行った。さらに実験結果および理論的検討結果など現時点での知見を総合して、マイクロバブル法による実船における摩擦抵抗低減効果の推定を行った。
 [2] 空気膜法
   空気膜法に関して、特許および実用新案の調査、既存手法についての文献調査を行い、また来年度以降に実施する実験について検討した。さらに空気膜の安定性に関するメカニズム把握を目的として、CFDによる2層流解析の可能性について調査した。
 [3] 表面処理法
   表面処理法に関する文献54件の表題、著者および出典をリストアップし、これらの文献での主なデバイスと調査方法(実験・理論)を分類し、本研究への期待度を5段階にて評価し、また本研究に有用と思われる42件の文献の抄訳を行った。


■事業の成果

平成10年度では摩擦抵抗低減法について技術開発の現状を知るための公開特許と文献の調査、およびマイクロバブル法について高速流路を用いた実験的調査研究を、4カ年計画の第1年度の研究として実施した結果、下記の成果を得た。

 

(1) マイクロバブル法と空気膜法についての特許調査と文献調査により、具体的な抵抗低減のアイディアや装置構成ならびに実験的・理論的研究で得られた定性的・定量的な抵抗低減特性に関する情報が整理された。

 

(2) 表面処理法についての文献調査により、自己研磨型塗膜、撥水性塗膜、弾性皮膜、リブレットなどの機能性塗膜の適用の現状とそれによる抵抗低減達成の可能性に関する情報が整理された。

 

(3) マイクロバブル法について、マイクロバブルの発生方法、剪断力計測法、ボイド率計測法、PIV法による気泡混じりの流れの境界層内流速分布計測法について、装置の試作または整備・調整から試験的な計測まで、一連の実験的検討を行った結果、従来の知見をほぼ裏付けるようなマクロ的な計測結果が得られると共に、来年度以降の研究で詳細かつ信頼性の高い計測結果を得るための基礎検討資料が得られた。





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