■事業の内容
本事業は、舶用ディーゼル機関の主要部品の経年劣化により発生する信頼性低下、性能低下に関する定量的なデータを得ることを目的に実施した。 (1) 実験機による劣化要素の組み合わせ試験 [1] 機関性能シミュレーションによる性能検討 各劣化要素を組み合わせた場合の機関性能シミュレーションを行った。 [2] 経年劣化要素を組み合わせた総合試験 [1]項のシミュレーション結果に基づき、劣化要素組み合わせ試験のケースを検討し、劣化要素組み合わせ試験を行った。 (2) 過給機の経年劣化に関する実船調査 [1] 就航船過給機部品の経年変化状況の定期訪船調査 就航船過給機部品の経年変化状況を調べるため、定期訪船調査を行った。 鉱石運搬船に訪船しタービンノズル、カバーリングの新替工事を行い、交換した部品を陸揚げし経年劣化状況を調査するとともに部品交換前後の機関性能変化を調査した。 [2] 就航船主機、過給機性能データの継続的採取 上記[1]の船に精密圧力計および温度計を設置し、掃気圧、タービン前温度、タービン後温度などの機関性能データを継続的に採取した。 (3) 総合とりまとめ [1] シミュレーション計算による性能劣化推定のまとめ (1)[1]項のシミュレーション計算による性能劣化推定のとりまとめを行った。 [2] 単体要素試験のまとめ 昨年度行った単体要素試験の結果を整理し、性能劣化式を作成した。 [3] 実験機による組み合わせ試験のまとめ (1)[2]項で行った劣化要素組み合わせ試験結果のとりまとめを行った。 [4] 過給機実船調査のまとめ (2)で行った実船調査による過給機部品の劣化状況調査と採取した機関性能データについてとりまとめを行った。 [5] H8年度から実施した[1]〜[4]の項目を総合したとりまとめ これまで行ってきた研究の成果を成果報告書に取りまとめた。 (4) 報告書 [1] 規 格 A4版 28ページ [2] 部 数 300部 [3] 配布先及び配布数 a.配布先 会員、委員、関係団体、省庁等 b.配布数 300部
■事業の成果
(1) 単体要素での性能変化 単体要素が劣化した場合の機関性能(NOx、Pmax、排気温度、燃費率等)に与える影響を定量化することができた。燃料ポンプを例にすると、整備基準値までの劣化量に到達すると燃費は1.6%悪化、排気温度は7℃上昇、Pmaxは5kg/〓低下することが予想できる。 (2) 劣化要素組合せ試験による機関性能変化 劣化要素を組み合わせた場合の機関性能への影響は、単体要素の単純和ではないことがわかった。 また、この影響度を各系統の重み係数として定量化できた。 劣化要素を組み合わせた場合でも、単体要素での場合と同様、掃排気系の劣化が機関性能に対し影響が大きいことがわかった。
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