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■事業の内容

本事業は最先端の技術開発である海洋の開発に係る総合的試験研究を実施するため、海外の海洋開発先進国の研究機関との連携を図り、技術情報を入手し、当センターの研究開発事業に資するとともに、わが国の海洋科学技術の進展に寄与することを目的とし、実施した。
(1) 海洋開発関連の国際会議・展示会への出席
 [1] OTC '98
  a.日 時 平成10年5月4日〜7日
  b.場 所 米国ヒューストン
  c.内 容 海底石油開発のための技術(探査、掘削、生産、輸送)に関する論文発表。
 [2] OMAE '98
  a.日 時 平成10年7月6日〜9日
  b.場 所 ポルトガルリスボン
  c.内 容 最新の海洋技術理論、実験結果の報告。
(2) 海外の研究者・技術者の招聘
 [1] 日 時 平成11年3月8日〜13日の6日間
 [2] 招聘者 ハワイ大学海洋地球科学技術学部Alexander Malahoff教授。
 [3] 内 容 ハワイのロイヒ海山の調査計画の打ち合わせと意見交換。
      「海洋科学技術センター」Research and Developmentミーティングを行った。
(3) 国際協力の推進
 [1] 日 時 平成10年5月14日(木)〜21日(木)
 [2] 訪問先 ウッズホール海洋研究所(米国ボストン)
 [3] 協力協定に基づき、主な研究協力テーマについて討議。
(4) 国際会議開催
 [1] 国際シンポジウム トライアングル98
  a.内 容  長期にわたる海洋変動とその気候に果たす役割を解明するため、太平洋・インド洋の熱帯赤道域から北極に至る総合的な観測研究であるトライアングル計画についてのシンポジウム。
  b.日 時  平成10年9月29日から10月2日
  c.場 所  京都国際会議場(京都市)
  d.講 師  Lorenz Magaard 米国ハワイ大学教授 他
  e.参加者  19名の研究者を海外から招聘し、4日間で延べ380人の参加があった。
  f.配布物
   (a) 名 称  The International Symposium TRIANGLE '98 Programme and Abstracts
   (b) 規 格  A4版 57ページ
   (c) 部 数  350部
 [2] 深海地球ドリリング計画フォーラム
  a.内 容  地球深部探査船の建造開始の機会を捉えて地球科学掘削の全体像について研究者の理解を深めること、潜在的ユーザーへの啓蒙を目的に開催した。
  b.日 時  2月4日から5日
  c.場 所  コクヨホール(東京都港区)
  d.講 師  Sean C.solomon 米国カーネギー大学地球電磁気学部長 他
  e.参加者  海外からは招聘者10名を含む17名が参加し、2日間の延べ参加者は582名
  f.配布物
   (a) 名 称  深海地球ドリリング計画フォーラム 予稿集、プログラム
  (b) 規 格  A4版 102ページ、4ページ
   (c) 部 数  500部、1,200部
 [3] 国際シンポジウム 海洋音響トモグラフィー '99
  a.内 容  海洋観測の有力な手法であるトモグラフィーを利用しつつ、技術開発を推進するべく、太平洋、インド洋、北極海、大西洋における各国の観測計画と今後の取組に関して意見交換を行った。
  b.日 時  平成11年2月8日から10日
  c.場 所  ホテル海洋(東京都新宿区)、海洋科学技術センター本部(横須賀市)
  d.講 師  Andrew Forbes, CSIRO Marine Research, Australia 他
  e.参加者  海外からは招聘者19名を含む25名が参加し、参加者は約80名
  f.配布物
   (a) 名 称  International Symposium Acoustic Tomography and Acoustic Thermometry Programme and Abstracts
   (b) 規 格  A4版 35ページ
   (c) 部 数  150部
■事業の成果

(1) 海洋開発関連の国際会議・展示会への出席
 [1] 米国テキサス州ヒューストンで開催されたOTC '98において、海底石油探査技術、海底石油掘削技術、海底石油生産技術等に関する論文発表、及び海洋構造物関連、掘削関連の展示会を中心に、当センターの進める科学的深海掘削研究に応用可能な最新技術の動向を把握することができた。
   これらは海洋科学技術センターにて計画中の深海掘削船の運用、及び「21世紀の深海科学掘削計画:OD21(Scientific Ocean Drilling in the 21st Century)」に大きく寄与するところである。
  [2] OMAE '98への出席にて最新の海洋技術理論、実験結果の報告等から有益な海洋開発情報を収集することができた。興味深い論文を報告書に翻訳して掲載した。特に「大深度アルミ製掘削ライザーの解析(OMAE98−0540)」、「南氷洋における科学調査用自律型無人潜水機“SARA”(OMAE98−4300)」等は海洋科学技術センターにて取り組まれている最新の研究・技術開発にはタイムリーな内容である。
(2) 海外の研究者・技術者の招聘
 [1] ハワイ大と海洋科学技術センターで平成10年度、平成11年度に実施しつつあるハワイ周辺海域での調査についての打ち合わせを行った。
   マラホフ教授がハワイ大サイドで主導的な立場にあるハワイ周辺海域の調査目的の内の1つであるロイヒ海山の熱水関連の調査計画について打ち合わせ。主たる内容は、現在のところ水深2000m以深では1990年のミールによる潜航時に発見された4900mの熱水域以外に候補地点がないため、「しんかい6500」による潜航調査の事前調査としてハワイ大の調査船KOKにより調査を最低3日行う予定とした。またロイヒでの「しんかい6500」による潜航調査を可能なら前半に地質関連の調査を後半に熱水関連の調査を行うように希望する。
   また熱水活動の調査の内微生物関連の打ち合わせを実施した。
 [2] R&Dミィーティング
  a.講演題目  ハワイ島南方、ロイヒ海底火山の地質と最近の活動
  b.講演概要  ハワイ島南方約30kmに位置するハワイホットスポット火山の最も初期段階にあるロイヒ海底火山のハワイ大学の最近の調査結果を中心とする、その火山地質と最近の熱水等の活動について
(3) 国際協力の推進
 ウッズホール海洋研究所ガゴシアン所長他と会談。研究を巡る社会情勢、海洋科学技術センターの活動方針、研究活動内容を紹介し、先方から主な研究協力テーマの説明を受けた。
 新規合意事項として観測船の運行管理、安全管理などウッズホール海洋研究所の運営事務について実務上のノウハウを得るため海洋科学技術センターの管理部門職員を6ヵ月程度派遣し、受け入れられることを合意した。刊行物の随時交換を合意した。次回協議は日本で1999年9月開催を決めた。
(4) 国際会議開催
 [1] 国際シンポジウム トライアングル98
   シンポジウムの目的は太平洋及びインド洋における海洋大気結合システムの変動についての成果の取りまとめ、システムにおける海洋循環の役割についての未解決の問題点を明らかにすること、その問題に対してプロセス解明を指向した方策を提案することにあり、ほぼ目的を達成した。
 [2] 深海地球ドリリング計画フォーラム
   今回のフォーラムは、深海掘削のみならず、氷床掘削、北極圏掘削、大陸掘削、高温掘削などの専門家を招き、地球科学掘削の全体像について研究者の理解を深めることに重点を置いた。参加した多くの内外の研究者より、このような会合はこれまでになかったことであり、極めて有益な機会となったことへの賛辞が述べられ、科学掘削相互の協力について具体的提言が取りまとめられるなど予期した以上の大きな成果をあげることができた。
 [3] 国際シンポジウム 海洋音響トモグラフィー '99
   遠藤昌宏海洋観測研究部長及びDr.Andrew Forbes(オーストラリアCSIRO)をコンビーナとして音波によるグローバル海洋観測を展望する国際シンポジウム「音響トモグラフィー '99」を開催した。
   会場のホテル海洋では2月8日及び9日の両日にわたって、両コンビーナの開会のあいさつの後、Dr.Spindelの基調講演を皮切りに、早朝から夕方まで33件の講演発表があり、活発な質疑応答があった。
   2月10日には、海洋科学技術センターに講演者を招聘し、よこすか、しんかい2000、しんかい6500及び高圧実験水槽の見学の後、本館三階大会議室にて総合討論を開催した。ここでは、太平洋、インド洋、北極海、大西洋における観測計画と各国の今後の取り組み方について活発な意見交換が行われた。
   本シンポジウムを通して、芽生えた国際協力の気運が今後の海洋音響トモグラフィーを利用した観測研究の推進に大きく貢献するものと期待される。





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