■事業の内容
国内経済の構造変化及び規制緩和の進捗により内航船の需要に対する市場が変化しつつあり、内航輸送の近代化、高速化が求められている。 内航輸送を近代化、高速化する一つの方策として貨物輸送形態のRORO化又はコンテナ化を促進することが重要な手段である。 このような現状に対処するため、中型高速コンテナ船について軽量化した低燃費船型を開発し、更に設計技術を高度化し、以て新規需要を促進し、併せて斯業の設計技術の合理化に資することを目的に、本事業を実施した。 (1) 高度設計技術の調査研究 [1] 設計生産技術システム化の調査研究 中型造船所の設計生産技術システム化の実態を把握するためにCAD/CAM、設計・工作人員、外注状況等についてアンケートを実施した。 また、情報システム、3次元CAD等ソフトについて調査し、問題点を抽出し、システム化検討の基礎資料とした。 [2] 中型高速コンテナ船の設計 基本計画を行い、概略仕様書を作成し、中型高速コンテナ船の基本設計を行った。また、加速度計算、波浪中動揺性能等の理論計算を行った。 併せて、作業軽減化設計について設計内容の検討を行った。 (2) 低燃費船型の開発 [1] 回流水槽試験 発泡スチロール製ウレタン加工模型船により、抵抗試験 (2状態、3隻)、自航試験(2状態、3隻)、流線観察(3隻)、船側波形(3隻)及びビデオ観察を行った。 [2] 曳航水槽試験 パラウッド製模型船により抵抗試験(2状態、1隻)、自航試験(2状態、1隻)5孔管による伴流計測(1隻)及び船側波形(1隻)計測を行った。 [3] 船型最適化理論計算プログラムの作成及び数値理論計算による船型開発指導 a.船型の最適化理論計算プログラムの作成 ランキンソース法プログラムを基に船型最適化理論計算プログラムを作成した。 b.数値理論計算による船型開発指導 委員会の決定により船型の最適化理論及び数値理論計算法の指導を四国地区((株)新来島どっく)で行った。
■事業の成果
日本を中心とする中型コンテナ船は内航及び東南アジアが主舞台になるが、最近の不透明な市況によって、これらの船舶の目指すべき方向性を明確に示すことは困難である。 しかしながら、海上物流の動向はコンテナ化、RORO化を指向し、港湾設備も着々とこれに向かって整備され、荷役を含めて高速化を辿っている。 このような現状に対処するため、本年度から中型高速コンテナ船の設計技術の高度化を実施した。高度化とは、大手造船所を中心として開発されている「造船CIM」を当会会員にも導入することを前提に、CIMを更に効果あらしめるため設計段階から、性能を保ちながら作業を軽減するための船型諸要素を織り込んだものにすることと定義した。 本年度は3カ年計画の第1年度目にあたり、各種の制約下にある会員の建造可能になるように最小主要寸法を目標として作業を行い、以下の成果を得た。 長さ130m以下、コンテナ数約500TEU、航海速力22ktを目標に基本設計、船型開発を行い、以下の主要目及び高速船型の基本線図を得た。 垂線間長 120m 幅 20m 深さ 10.7m 計画喫水 6.7m 満載排水量 9,500トン 総トン数 4,000トン 航海速力 22kt コンテナ数 490TEU 主機関 22,600PS×400RPM(MO) 19,210PS×379RPM(NO) 高度化の調査により、CIM実施上、会員各社の背景が広範である実態が把握でき、また作業軽減化の基礎方針を作成した。 数値理論計算による圧力分布、船側波形計算精度を向上させることにより、船型最適化プログラムのベースプログラムを整備することが出来た。 以上の成果を基に、次年度以降更に要目を絞り込んだ設計を更に進めることができる目処が立った。
|
|